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【PR】牛乳は工業製品じゃない――見て、触れて、飲んで価値を伝える 新潟県阿賀野市・㈱神田酪農

9月30日
読了時間: 7分

更新日:5 日前

牛舎で牛乳づくりや酪農教育ファーム活動への思いを話す神田豊広さん
牛舎で牛乳づくりや酪農教育ファーム活動への思いを話す神田豊広さん

 新潟県酪農発祥の地とされる阿賀野市で、3代にわたり酪農を営む神田酪農。牛舎に隣接するソフトクリーム&ジェラートショップ「みるぱす」には、商品を味わうだけでなく、牛を見に訪れる人の姿もある。代表の神田豊広さん(55)は、自社ブランド牛乳「やすだ愛情牛乳」や「KANDA MILK」の販売、見学・体験の受け入れを通じて、消費者との接点を広げてきた。根底にあるのは「牛乳は工業製品ではない」という思い。牛を見て、触れて、最後に牛乳を飲んでもらう――。神田さんが牧場を開放する理由を聞いた。


見学・体験では牛を見て、触れて、酪農家の仕事や365日続く牛の世話について学ぶ
見学・体験では牛を見て、触れて、酪農家の仕事や365日続く牛の世話について学ぶ
体験では搾乳牛舎には入らず、育成牛舎が中心
体験では搾乳牛舎には入らず、育成牛舎が中心

生乳生産の努力が見えにくいことに危機感


 神田さんは北海道江別市の酪農学園短期大学で学び、実習を経て地元に戻った。帰郷後はすぐにフルタイムで、実家で働いたわけではなく、地元農協、親戚の鉄工所、水道関係の仕事などに就きながら、朝夕は牧場で搾乳や牛の世話を続けた。「ずっと二刀流だったんです」と神田さん。外の仕事で身に付けた鉄工や水道関連の技術は、牛舎設備の修繕や配管、体験教材の自作、キッチンカー整備など現在の牧場づくりにも生きている。

 現在はホルスタイン70頭(成牛約55、育成牛約15)、ジャージー2頭をつなぎ飼いで管理し、年間出荷乳量は約480~490t。乳脂率3.8%、乳タンパク質率3.3%、無脂固形分率8.7%、体細胞数8万1,000個/mLと、良好な乳質を保つ。飼料は購入TMRやイネホールクロップサイレージ(WCS)、自給のイタリアンライグラスに加え、乾燥麺くず、ビール粕、しょうゆ粕などエコフィードも活用する。

 自社ブランド牛乳に取り組むきっかけは、異業種交流会に参加し、今後の経営を考えたことだった。酪農家として日々牛と向き合い、良い生乳を搾ろうと努力しても、その過程は消費者にはなかなか見えない。自分たちが管理した牛から搾った生乳を製品化して消費者に飲んでもらいたい。その思いから「やすだ愛情牛乳」が誕生した。

 ただ、自社ブランド牛乳の販売は簡単ではない。乳業工場に製造を委託し、製品を買い戻す形で販売するため、仕組みは複雑で少なくないコストがかかる。「商売としては大変。お金にはならない」と神田さん。

 それでも続けてきたのは、一杯の牛乳の背景にある牛の存在や、毎日の仕事を伝えたいからだ。「牛乳は工業製品じゃないということを分かってもらわないと」。その言葉には、牛乳づくりの努力が見えにくいことへの問題意識がにじむ。


見学後に児童が届いた手紙
見学後に児童が届いた手紙
神田さん自作の模擬搾乳機。口から水を入れて使う
神田さん自作の模擬搾乳機。口から水を入れて使う

牛舎を見て、触れて、最後に牛乳を飲む


 商品として届けるだけでは、牛乳の背景までは伝わりにくい。そこで神田さんが大切にしてきたのが、牧場を開放し、牛を見てもらうことだった。「言葉だけで伝えるのは非常に難しい。牛舎を見てもらえば、感じてもらえる」。神田さんにとって、酪農教育ファーム活動は特別なイベントではない。牛乳を生み出す現場を見てもらい、牛や酪農の仕事を実感してもらうための取り組みだ。

 コロナ禍前には年間500人程度を受け入れていた時期もあり、現在も地元小学校や幼稚園、団体、県事業の親子ツアーなど年間約100人を受け入れている。対応するのは神田さんと妻・麻子さん(57)で、神田さんの不在時は麻子さんが一人で対応する。

 見学・体験は育成牛舎を中心に行う。参加者は牛舎に入る前にブーツカバーを履き、子牛や育成牛を見ながら月齢や成長の早さについて説明を受ける。チモシーなどを手に育成牛へ餌を差し出すと、牛が顔を出し、参加者の手元に口を伸ばす。その様子は子どもたちにとって印象に残る。

 その後、成牛の前で一日の流れや365日続く酪農家の仕事などを説明する。成牛の大きさを見てもらった上で「何キログラムあると思いますか」と問いかけると、その重さに驚く子どもが多くいる。小学生、親子、団体で反応は違うため、神田さんは参加者の様子を見ながら話を広げていく。

 かつては搾乳体験も行っていたが、コロナ禍以降は神田さん自作の模擬搾乳器に切り替えた。牛の模型に水を入れ、手搾りの作業を体験できる仕組みだ。一方、神田さんは「餌やりの方が楽しそう」とも感じている。搾乳体験は一つの動作として終わりやすいが、餌やりは牛と面と向かって関われる。口の動きや力強さ、体の温かさを感じられる直接的な体験だ。

 牛舎での体験を終えると、参加者はブーツカバーを脱ぎ、しっかり手を洗ってから牛乳を飲む。中には「ソフトクリームに変更できないか」と希望する参加者もいるというが、神田さんはまず牛乳を飲んでもらうことを大切にしている。

 牛を見て、酪農の仕事を知った後に飲む牛乳は、単なる飲み物ではなくなる。「給食の牛乳よりおいしい」。参加した子どもから、そんな感想が出ることもある。


自社ブランドの100mLミニパックは牛乳を身近に感じてもらう入口になる
自社ブランドの100mLミニパックは牛乳を身近に感じてもらう入口になる
牛舎に隣接する店舗「みるぱす」
牛舎に隣接する店舗「みるぱす」

ジェラート店の来訪者含め日常的に牧場を開放


 牧場を訪れるきっかけは、必ずしも酪農への関心でなくていい。ソフトクリームを食べに来た人が牛を見て、牛乳の“背景”に触れる。牛舎の隣にある「みるぱす」は、そうした出会いを日常の中につくっている。

 みるぱすには、搾りたての生乳を使ったソフトクリームやジェラートを求めて、地元住民や観光客が訪れる。商品を買う前後に牛舎へ足を運ぶ人も多く、子ども連れの家族にとっては、牛乳やジェラートを味わうことと牛を見ることが一体となった体験になる。牛乳よりもソフトクリームやジェラートなら手に取りやすいという人もいるが、250mLのKANDA MILKや100mLのミニパックも、牛乳を身近に感じてもらうための商品で、100mLパックは体験後の試飲に使いやすい。

 日常的に人を迎える牧場であるためには、見学者が来る日だけでなく、普段から牛舎を見せられる状態にしておくことが重要だ。神田酪農では、朝晩の掃除を含め牛床の管理を徹底している。敷料にはもみ殻を使い、乾燥した状態を保つことを重視。朝・昼・晩に石灰をまき、牛が横になる場所を清潔に保つ。こうした日々の管理が、においの少なさや良好な乳質につながっている。

 見学者が入れる場所は決めていて、育成牛舎を中心に安全に見学できるようにしている。

 指定団体による3年に1回の現地検査を定期的に受けており、衛生面や安全面、牛への配慮も欠かさない。

 農場を開放する負担は小さくないが、見ることでしか伝わらないものがある。


牛の顔が目を引く、イベント・配達用の「カブ」
牛の顔が目を引く、イベント・配達用の「カブ」
品種の違いを伝える教材にもなるジャージー
品種の違いを伝える教材にもなるジャージー

牛乳のファンをどう広げるか


 神田さんの取り組みは、見学・体験の受け入れだけにとどまらない。自らイベントに出向く他、牛乳パックをモチーフにしたグッズやカプセルトイ、空パック工作など、ファンづくりに向けたアイデアを幅広く展開する。

 「牛乳を牛乳として売ろうとするから難しい」。牛乳そのものの価値を大切にしながらも、かわいい、楽しい、集めたい、応援したいといった感情を入り口に、牛乳に関心を持ってもらえないか。そんな思いがある。

 神田酪農にとって酪農教育ファーム活動は、牛乳販売や6次産業化と切り離されたものではなく、消費者との接点づくりの一つだ。一杯の牛乳の向こう側には、牛がいて、365日続く仕事がある。見学者がそれを少しでも感じ、飲む牛乳の味が変わるなら、牧場を開放する意味はある。こうした取り組みは、酪農教育ファームが持つ「伝える力」を地域の中で具体的な形にしている。【文・斉藤 宏之/写真・宮田 幸司】


◇酪農教育ファームとは

 「酪農を通して食やしごと、いのちの学びを支援する」ことを目的に、全国の酪農関係者が牧場や学校などで教育関係者と連携しながら実施する酪農教育ファーム活動。1998年に酪農教育ファーム推進委員会が設立され活動がスタートした。その2年後には“情熱を持って子どもたちを受け入れ、かつ利用者が安心して訪問できるよう、一定の安全・衛生条件を満たす牧場など”を認証する制度が設立。2026年7月時点で認証牧場は202牧場、牧場や学校などで活動を行う酪農教育ファームファシリテーターは418人に上る。


◇牧場概要

飼養頭数:成牛約55頭、育成牛約15頭

飼養形態:つなぎ飼い

飼料作付面積:約10ha

出荷乳量:約480~490t/年

作業従事者:家族2人、外国人技能実習生1人、パート6人(シフト制)


初出:月刊『デーリィマン』2026年10月号

初出企画:牛乳の背景を伝える酪農教育ファーム活動

原題:牛乳は工業製品じゃない――見て、触れて、飲んで価値を伝える/牧場を開放し、牛と人が出会う場をつくる

掲載区分:記事広告

協力:一般社団法人中央酪農会議

※本記事は掲載時点の内容です。


酪農教育ファームに関する問い合わせ

一般社団法人中央酪農会議


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