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武隈英和氏が和牛受精卵生産を解説 明治飼糧北海道荷受組合が講演会㊦

  • 7月21日
  • 読了時間: 4分
武熊英和氏は黒毛和牛受精卵の活用に触れた
武熊英和氏は黒毛和牛受精卵の活用に触れた

 明治飼糧北海道荷受組合が主催する講演会「北海道十勝における酪畜連携最前線」で、藤本高史氏に続いて講演した武隈ブリーディングファーム(豊頃町)代表取締役社長の武隈英和氏は、和牛の採卵スケジュールや黒毛和種受精卵へのこだわり、受精卵生産の視点、耕畜連携のメリットとデメリットなどを説明した。


連携は互いに理解しあえる相手と


 武隈ブリーディングファームは畑畜兼業経営で、畜産部門は407頭(うち繁殖228頭、子牛95頭、肥育22頭、乳牛62頭)を飼養。牛の生体販売(素牛、肥育)と受精卵販売を手掛ける。畑作部門は耕作面積120haで、馬鈴しょ、小豆、大豆、デントコーン(受託)、牧草を生産している。黒毛和種受精卵はOPUを利用した効率的な生産を行っており、ドナーを2グループに分けて週替わりで実施している。

 独自配合のオリジナル添加剤の使用に加え、エアコンや遮光フィルムによる採卵室の温度と紫外線の管理の徹底、施設整備による作業効率向上を図っている。

 生産面では目的ごとに異なる交配をしており、販売用は新しい精液よりも実績ある精液、改良用は精液よりもドナー(母牛)の能力を重視。ドナーは高育種価、高ゲノムのファミリーを中心に選定しており、回収個数と発生率の良いドナーを主力としている。

 武隈氏は「和牛の改良はすごく時間がかかる。例えば1頭の種雄牛をつくるのに5年(かかる)。生まれて5年後にやっと改良の成果が出てくる。そこにどのような雌牛を残していくのかが大事な要素。5年後、10年後を見据えて後継牛をつくっていくのが和牛の世界では必要な視点」と、改良で母牛の能力を重視する意図を説明した。

 また、販売用受精卵は肥育生産者に買ってもらえる牛をつくるのを目的に、市場名簿に掲載される血統構成を意識する。一方で、改良用は優秀な遺伝子を広範囲に広げ牛群全体のレベルを向上させるのが目的になる。同じ血統を複数生産することで高い選抜圧で優秀な遺伝子の確保が可能な上、世代を進めることで改良速度も上げられる。

 これについては、道内の家畜市場には全国から銘柄牛の産地の農家が素牛購入に訪れるとした上で「(家畜市場には)その地域の牛を買いに来る購買者が集まっている。そういう地域の牛をつくらなければならない」と指摘。「自分が持っている受精卵を地域に広げながら十勝のレベルを上げていく方が良いだろうと、能力のありそうなドナーを使って繁殖農家の方々の基礎になるような雌牛を取ることがすごく大事になる」と強調した。

 藤本牧場との酪畜連携の取り組みについては、藤本氏からのオーダー(未経産、経産など用途のみ)に合わせて産子のサイズや受胎率を勘案して受精卵を選定。藤本牧場で生産後は全て武隈ブリーディングファームで買い取り、45~60日齢をめどに素牛市場に出荷するほか、改良用の受精卵で生産した牛は後継牛として残している。

 出荷された牛は育成牛として売られ、最終的に枝肉として市場に流通する。武隈氏は「肥育農家が最後、枝肉として出荷するのがゴール。(素牛として)売ってゴールではなく、売った後のことも生産者として考えていかなければならない。そのサイクルが完成して、初めて次の牛を買ってくれる」と強調した。

 酪畜連携のメリットは肉牛農家にとっては自らが持つ繁殖牛以上の子牛販売が可能になることや分娩作業負担の軽減、最新の血統の子牛が手に入ること、酪農家にとっては飼養頭数の効率化や哺育頭数と哺育期間の短縮、副産物収入と税金対策などを挙げた。

 一方、肉牛農家はいろいろな牧場から子牛が入ることによる病気のリスクや受け入れ体制整備など、酪農家は分娩作業負担や受精卵価格などがデメリットになるとした。

 その上で上手な連携に向けては、互いに理解しあえる相手と取り組むことに加え、連携先から利益を得るのではなく互いの資源を有効活用して「外貨(肉牛農家の素牛販売、酪農家の生乳生産)」を得ること、互いのデメリットの落としどころを見つけることなどと説明した。

 (おわり、佐藤世一)

 ≪酪農経済通信/2026年7月17日付≫

 原題:明治飼糧北海道荷受組合が帯広で講演会㊦

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