進化した乳和食を調理科学から解説――Jミルクが基礎・入門講習会
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Jミルクは2026年8月18日午後、東京・千駄ケ谷のパークアベニューで「乳和食基礎・入門講習会」を開き、乳和食の最新レシピや考え方などについて紹介した。
講習会の講師には、乳和食の考案者で料理家・管理栄養士の小山浩子氏と、作家・料理家の樋口直哉氏を招き、牛乳を活用した和食レシピの紹介や調理のデモンストレーションのほか、調理科学の視点からひもとく乳和食の可能性などについて講演を行った。講習会は「牛乳でスマイルプロジェクト」の一環として開催し、乳和食パートナーや酪農乳業関係者ら41人が参加した。
講習会の開会に当たり、主催者を代表してあいさつしたJミルクの渡辺裕一郎専務は「残念ながら牛乳の消費量は年々減少している」と述べ、寒暖による消費の変化や、夏休みといった学校給食のない時期の影響など、季節的な要因による生乳需給の変化について説明した。
その上で「消費者の皆さま方には、(牛乳を)飲むだけではなく、乳和食という料理を通じて食べていただきたい。これにより牛乳の良さをもっと知っていただいて、1年を通して安定的に消費していただきたい、というのがわれわれの願いだ」と話し、牛乳類の消費拡大に対する協力を求めた。
今回の講習会は4部構成で実施し、第1部では小山氏が進化を続ける乳和食の現在地について語った。
小山氏は乳和食誕生の経緯について、「誰も知らないミルク料理」を考案するために、和食に必要な「水」を牛乳に置き換えられないかと試行錯誤したのが始まりだったと説明。当初は牛乳で肉じゃがを煮たりしたものの、「ミルク料理はミルクの姿を料理の中から消さなければ、日本人の食生活に定着させることは難しいと思った」と振り返り、そこで取り組んだのがホエイの活用だったと述べた。
小山氏は牛乳を加熱して分離させることで「だし」になると説明し、実際にホエイはカツオだしと同じように和食に利用できたという。しかし、その抽出には手間がかかり、実践できる人が少ないという問題が発生。そこで新たに考案したのが「同時分離調理」という、鍋の中で調理するのと同時に牛乳を分離させる工程だった。
小山氏は手間のかからない乳和食の調理法を広めることを通じて「牛乳の消費を爆上げする」と意気込みを語った。

牛乳が持つ「成分と味わい」を科学的に解説
第2部では、樋口氏が調理科学の視点から牛乳を分析したほか、日本食への取り入れ方について考察した。
樋口氏は冒頭で「おいしさ」という状態について説明。人間が舌で感じる甘味、酸味、塩味、苦味、うまみの5種類を生み出す成分や香りの成分を紹介し、食べ物の食感や温度、また人間の食文化や食生活、心身の状態によっても「おいしさ」は左右されると述べた上で、牛乳が持つ成分と味わいについて科学的に解説した。
また、食材同士の相性を決める要素についても説明し、実際に牛乳がマッチする日本料理や世界の料理について紹介した。その中で、牛乳が用いられている理由を調理科学の視点から分析。例えば、ミルクみそ汁は、みそやだしの塩分・うまみ成分(グルタミン酸など)に牛乳のうま味成分(ペプチドなど)が合わさってコク(味、香り、食感の3要素を通じて、複雑さ、広がり、持続性を口の中に感じた時に生じる現象)が生まれ、少ない塩分でも満足感が生まれる効果があるのだという。このような調理科学の視点を持てば、乳和食をはじめとした料理の可能性が広がると述べた。
その後、乳和食のデモンストレーションを実施。小山氏が「チーズができる基本のミルクごはん」「ミルクいなり」「かぼちゃのほったらかし煮」「鶏の麩入りミルク塩昆布つくね」「冷凍ベリーの牛乳寄せ」など、同時分離調理を取り入れて進化した乳和食6品を調理した。完成した料理は会場で試食し、参加者らはミルクの「だし」が効いた料理に舌鼓を打った。

100年先も引き継がれる和食のレシピへ
試食と同時に行われた講師による対談では、今後の乳和食の食卓への広がり方について意見を交わした。
樋口氏は、乳和食の強みでもある「減塩」は健康重視でおいしくないイメージがあるとした上で、「ミルクを使えば(減塩でも)適切においしい」と述べ、これからの料理には「適塩」といった考え方が必要ではないかと提起した。
これを受けて小山氏は「おっしゃる通りだ」と共感を示し、「今まで『減塩』をアピールしてきたが、乳和食は和食の(純粋な)アップデートにつながっている。(減塩や牛乳の利用を特別に強調せずとも)100年先もレシピが当たり前に引き継がれていってほしい」と思いを語った。
(山根藍利)
≪酪農経済通信/2026年8月21日付≫
原題:進化した乳和食を調理科学の視点から解説
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