Jミルクが2026年度事業説明会を開催 脱粉在庫の追加対策を検討
- 4月23日
- 読了時間: 4分
Jミルクは4月21日、2026年度事業説明会をオンラインで開き、2026年度事業計画の概要や生産流通関連事業など各事業の取り組み方針について説明した。当日は酪農乳業関係者146人が参加したほか、後日公開するオンデマンド配信でも35人の参加を見込む。
説明会の冒頭あいさつで渡辺裕一郎専務は、Jミルクが行う各事業の連携を強化しつつ、来年度からの新中期計画に向けたアンケート調査の実施などを通して、業界が共通課題に取り組む上でのハブ機能を高めていきたいと考えを示した。在庫の増加が続く脱脂粉乳に関しては「需給ギャップを縮小するために、追加的な対応策について5月の理事会、6月の総会で一定の方向性を打ち出すことができるよう、戦略ビジョン推進特別委員会の中で精力的に議論を行っている」と説明した。
さらに昨年リニューアルした「牛乳でスマイルプロジェクト」については、「本年度は皆さま方の新たな連携やコラボによる相乗効果で実需が生まれるよう、本プロジェクトを本格実施していく年だと言える」と述べ、「まずは6月の牛乳の日、牛乳月間における全国の関係者による活動を集約し、一元的にポータルサイトで情報発信していく」として、関係者の積極的な協力を求めた。
なお、全国の関係者が活動を行う上での数値目標(KPI)の設定については「さらに検討を要する」として、改めて説明する機会を設ける考えを示した。
AI生乳供給量予測、長期予測精度が課題
2026年度の生産流通関連事業については、需給安定対策事業におけるAIを活用した予測モデルの構築と、学乳事業での取り組みを紹介した。
需給安定対策事業の下で実施される需給予測は従来、過去の実績を基とする蓄積データを分析し予測値を算出し、長期トレンドと直近トレンドを組み合わせた上で、頭数や粗飼料生育、価格といった変数も加えて試算する「ARIMAモデル」を用いてきた。急激な気温変化や生産コストの急騰など、リアルタイムで動向が変わる事態への対応が難しいという課題があった。
構築を進めるAIモデルでは、入力データの中から予測したい結果が高確率で発生する条件を探すアルゴリズム(計算手法)を使い、予測値を試算する。ARIMAモデルには組み込めなかったデータも変数に組み込み、学習を繰り返すことで、より高精度な予測が期待できるという。昨年度までに気温や粗飼料生育などの条件を選択し、地域ブロック単位での生乳供給量の試算は可能となった。向こう数カ月間の予測精度ならば、既にAIモデルに優位性がある。予測期間が延びた場合の精度向上に向けては、モデルのチューニング作業や学習が必要だとした。
今年度は牛乳類および発酵乳需要量、生クリーム等向けおよびチーズ向け生乳処理量、脱脂粉乳およびバター出回り数量予測のモデル構築などのほか、統計ウェブサイトなどからのデータ自動収集、基礎データ作成機能の構築を予定している。
学乳事業に関しては、昨年度実施した配送コスト低減などに関する調査結果を報告した。調査によると、配送効率化の理解が進みつつあることや、学校給食無償化に当たっても牛乳の供給事業者は8割以上が入札で決定されていることから、影響は少ないという見解を示した。
このほか、学校で保存する商品(保存食)の費用負担に関する調査の結果を踏まえて要望した結果、今年度から福岡県と熊本県では、これまでの乳業者負担から自治体・学校による費用負担に変更し、結果として乳業者の大幅なコスト削減が実現した事例も紹介した。
今年度は配送コスト低減に向けた取り組みや、牛乳の風味変化への啓発活動など、共通課題の解決に向けた事例を収集し、学乳関係者間で共有する意見交換会などを通して情報発信を行うほか、学校給食無償化に関する課題把握の検討も実施。さらに6月には農水省に対して、学乳制度の維持・堅持や学校給食用牛乳等推進事業の供給条件不利地域(校)に対する支援継続の要請を行う予定とした。
酪農乳業需給変動特別対策事業では、脱脂粉乳の需給ギャップへの対応に向け、在庫削減に必要な具体的な取り組みや対策案について議論を進めており、早ければ6月の総会で一定の方向性を示すとした。
暑熱対策をはじめとする需要期生産の取り組みや、ヨーグルトの需要拡大キャンペーンのような出口対策に加えて、生処の拠出によって造成する「酪農乳業需給変動対策基金」の規模確保に向けた拠出単価の見直しも視野に入れる。
(山根藍利)
≪酪農経済通信/2026年4月23日付≫
原題:Jミルクが2026年度事業説明会を開催
.webp)








