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加工原料乳生産者補給金を生乳需給安定クロスコンプライアンスの対象に 自民党が提言案

  • 7月16日
  • 読了時間: 4分
自民党の畜産・酪農対策委員会の会合
自民党の畜産・酪農対策委員会の会合

 生乳需給の安定に向けて、自民党は2026年7月15日朝、党本部で畜産・酪農対策委員会の会合を開き、同委員会が取りまとめた「生乳の需給と価格の安定を図るための施策の強化に向けた提言案」を示した。提言案では、生産抑制を繰り返さぬよう、関係者が協調するかたちで需給と価格の安定に向けた施策を強化していくことは喫緊の課題だと指摘した上で、加工原料乳生産者補給金等を「生乳需給安定クロスコンプライアンス」の対象に加えることを求めるとともに、畜産経営安定法(畜安法)の改正が必要なことから早急に取り掛かるよう求めた。

 酪農家全体を守るための規律の強化に向けては、一部生産者の指定団体の場当たり的利用や脱脂粉乳対策への不参加などにより生産者間の不公平感が高まっているとした上で、一部事案によっては指定団体の集乳経費が「あまねく集乳」の趣旨を超えて増加することや、酪農全体を守る「年間安定取引」「需給と価格の安定」といった“インフラ”を毀損するものになっていると指摘。少量複数出荷(いわゆる「ちょい出し二股出荷」)の問題に対し、指定団体が集乳の申し出を拒めるなど実効性のある規律の具体化作業を進めるよう求めている。

 畜産・酪農対策委員会では、引き続き、消費拡大だけではなく将来にわたり国内で生乳を安定的に生産・消費していくための方策の検討など、わが国の食料安全保障の確保の観点から総合的な議論を行うとした。

 併せて農水省に対しては、一連の議論を踏まえ、引き続き生産者の声を聞きながら、需給安定に資する具体的な施策の議論や検討を不断に行っていくことも求めた。提言は2026年7月16日にも鈴木憲和農相に申し入れる。

 畜安法をめぐっては、生産と流通の多様化を求める声を受けて2017年の改正で、加工原料乳生産者補給金の交付対象者を指定団体以外にも拡大する施策対応が行われた。その後、コロナ禍における生乳需給の緩和に伴い脱脂粉乳の在庫問題が発生、需給の安定を図るために生産抑制という対応を余儀なくされたほか、生処協調による脱脂粉乳在庫の低減対策など全国的な取り組みが進んでいたが、取り組みに参加していない生産者もおり、生産者団体からは負担に偏りが生じ、「不公平感」があるとの指摘もあった。

 農水省では規律の強化に向けて、Jミルクによる脱脂粉乳の在庫削減対策(需給変動対策特別事業)への参加と、生処が造成する「酪農乳業需給変動対策基金」への拠出を主要な補助事業の交付要件とする措置(生乳需給安定クロスコンプライアンス)を2025年度から段階的に導入していた。

 現在、系統外に生乳を出荷する生産者の半分程度が拠出済みとなっているものの、生産者団体からはいまだに拠出していない残りの生産者の基金への拠出を促すため、需給や経営への影響が最も大きい加工原料乳生産者補給金をクロコンの対象とする必要があるとの要望も挙がっていた。

 会合の冒頭あいさつで、簗和生畜産・酪農対策委員長は「畜安法が2017年に改正されて以来、場当たり的な指定団体の利用、あるいは脱脂粉乳対策への不参加に対して、需給の安定という点で不公平だという声を生産現場から多々いただいていた」と述べ、党内で議論を重ねて今回の提言の取りまとめに至ったと説明した。

 さらに簗委員長は「畜安法の改正が必要な課題もある」とも述べ、脱脂粉乳の在庫低減対策など全国協調の取り組みに対する規律強化を進める姿勢を示し「生産者に意欲を持って営農を継続してもらうためにも、食料安全保障の観点でもしっかりとした、わが国の主要産業としての酪農を築いていくべく、議論を深めたい」と述べた。

 宮下一郎総合農林政策調査会長は、コロナ禍以降の需給の安定に向けた生処協調の全国的な取り組みに触れ、「(対策を通して乳価交渉の環境が整ったことで)計1,600億円程度の(売り上げ)増加という大きな効果を得ることができたが、(その利益は)15銭の拠出の有無に関わらず、みんなが得ているものだ」と述べ、農協系統外に生乳を出荷する生産者のうち、基金に拠出しているのは半数程度にとどまっている現状にも触れた。

 その上で「補給金についてもクロスコンプライアンスの対象にというのが大きな論点の1つだ」と話し、「ちょい出し二股出荷」に対しては、集送乳のコスト上昇のひとつの要因となっていることから、規律の導入が課題となると指摘した。

 (山根藍利)

 ≪酪農経済通信/2026年7月16日付≫

 原題:加工原料乳生産者補給金をクロコン対象に

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