《北のめん羊ワンダーランド14》北海道の3牧場でシープドッグトライアル 牧羊犬が羊を扱う能力を競う
- 8月6日
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更新日:8月6日



羊を扱う能力を競い合い、より優れた牧羊犬を選出
広い草地の中で牧羊犬が羊の群れを誘導――牧羊風景を代表するイメージの一つだが、日本で実際に牧羊犬を利用している羊飼いは多くない。そんな中、北海道では羊牧場を競技会場として牧羊犬が羊を扱う能力を競う「シープドッグトライアル(牧羊犬大会)」が開かれている。5回目となる2026年大会は、5月に足寄町の石田めん羊牧場、池田町のボーヤファーム、占冠村のトマムシープファームの3会場で開催され、羊飼いやシープドッグトレーニング愛好家が日頃のトレーニングの成果を競い合った。
競技方法は、スタート地点にいる牧羊犬が遠方にいる羊4頭の群れに近づき、3カ所に設置されたゲートを通り抜けるよう群れを誘導、最後にペン(囲み柵)の中に誘導しゴールとなる。誘導ルートは5区域に分けられ、それぞれの区域ごと国際ルールに基づいた方式により減点がなされ(イラスト参照)、残った点数によりハンドラー・牧羊犬の順位が決まる。3会場ともにビギナークラス(初級)とオープンクラス(上級)の2クラスを設けている。
北海道での3大会連続のシープドッグトライアル発起人の有光良次さんに、大会の意義などを聞いた。(聞き手・構成・写真=星野晃一/2026年5月取材)
――本大会をスタートするきっかけは。
有光 都府県で、趣味としてボーダーコリー(牧羊犬の代表的な品種の一つ)に羊を扱わせる能力をトレーニングしたいという層が一定数いらっしゃるんです。もともとフリスビーやアジリティーなどのドッグスポーツをやられていた方が、ボーダーコリー本来の仕事としてシープドッグトレーニングに興味を持つ流れです。都府県でシープドッグトレーニング施設を運営している知り合いに、「都府県各地の羊牧場と比較して、より広いフィールドを持つ北海道の牧場でトライアルを定期開催して競技人口増加を目指しませんか」と私が話を持ちかけたのが始まりです。初開催の2021年はその方と一緒に運営しました。
――参加人数は増える傾向ですか。
有光 少し減った時期もありましたが、今年はまた増えています。都府県のシープドッグトレーニング施設を運営している人たちが、そこでトレーニングしている方々と一緒に普段のトレーニングの成果の確認の場として、北海道のトライアルを活用してくれている感じです。羊飼いの参加者はほとんどおらず、参加者のほとんどがドッグスポーツの一つとして趣味でシープドッグトレーニングをやられています。
――3会場で開催するのはなぜですか。
有光 都府県からの参加者が非常に多いからです。東京や関西圏から、わざわざ飛行機やフェリーで北海道まで来ていただくので、1日だけの大会だと満足度が低いだろうと考え、複数の会場を回る形にしています。

――実際に牧羊犬を使っている牧場は北海道にどれくらいありますか。
有光 正確には分かりませんが、シープドッグトライアルを開いている3牧場以外ほとんどないと思います。放牧飼養している羊牧場でも飼養頭数が少なかったり、ほとんどの羊を畜舎の中で飼養している場合は牧羊犬がいなくても牧場運営はできますし。ただ、うちの牧場のように道路を歩かせて遠くの放牧地に移動させたりする場合は、牧羊犬がいないと作業効率が大きく低下します。広い放牧地を持つ羊牧場では、バイクやバギーで羊を追う所もありますね。
――他に牧羊犬を飼うメリットは?
有光 牧羊犬を繁殖させて、他の羊飼いやシープドッグトレーニングに興味のある方に販売できるようになれば、羊飼いの一つの収入源になる可能性があると考えています。現在、私がメインで使っているのは5歳の雌のボーダーコリーですが、牧羊犬の仕事はハードで7〜9歳になると特に暑い夏場は負担が大きくなります。ですので、必ず世代交代のために定期的に若い犬の導入(更新)が必要になります。そのため自牧場の雌犬を良い牧羊能力を持った雄と交配・繁殖するのですが、一度に6~8頭くらい生まれることもあるので、牧場維持のために必要な頭数以外を、適切な価格で希望者に販売できるような流れができれば理想的です。
そして、トライアルはどの個体が良い能力を持っているかを判断する場にもなります。ここで上位になる個体は、難しい羊も扱える優秀な犬だという証明になり、その個体の子を販売する際のネームバリューにもなります。
最近、新しく羊飼いを目指す若い人たちには草地管理や持続可能性、中山間地の維持という観点から放牧飼養を考えている人が増えていると感じているので、彼らにきちんとトレーニングされた牧羊犬がいれば効率的に作業ができるということを伝えたい。ただ、日本では優秀な牧羊犬を適正な価格で手に入れることがイギリスなどと比べて容易ではないので、それを改善できればと考えています。
――ちなみに、有光さんはどこで牧羊犬とハンドラーの勉強をされたんですか?
有光 えこりん村(恵庭市にある羊生産牧場、レストラン、観光施設などを持つ企業)の立ち上げに当たりシープドッグショーをやることになり、犬の訓練の専門学校を卒業して27歳で入社した私がその立ち上げを担当することになりました。出張としてイギリスに行かせてもらい、現地の有名なトレーナーの所に3週間ほど滞在して教わり、牧羊犬を1頭連れて帰ってきてショーを始めました。ですので、もう20年くらい牧羊犬に関わっています。

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