top of page

日本テトラパック、与論島でLL牛乳の防災備蓄実証 学校給食で全国初

  • 6月12日
  • 読了時間: 4分
ロングライフ牛乳寄贈式の様子。左から日本テトラパック㈱上田晃司取締役副社長、田畑克夫与論町長
ロングライフ牛乳寄贈式の様子。左から日本テトラパック㈱上田晃司取締役副社長、田畑克夫与論町長

 日本テトラパックは6月10日、鹿児島県与論町(与論島)で、学校給食で提供するロングライフ牛乳を活用した防災備蓄の実証実験を6月から約1年間の期間で開始したと発表した。初期在庫として学乳供給本数の約9日分に当たる約4,500本を同社が寄贈し、学校給食用ロングライフ牛乳の常温備蓄とローリングストック運用を与論町内の全ての小中学校(4校)で実施、在庫管理の実現性や賞味期限の管理、作業負担、欠航・災害時の実使用状況などを検証する。

 ロングライフ牛乳は、常温で長期保存が可能であることから日常利用と災害時の備蓄を両立しやすい食品で、このような特性から、チルド物流が難しい地域を中心に学校給食用牛乳として長年利用されてきた。毎日学校給食で提供される牛乳にロングライフ牛乳を活用することで、特別な備蓄を行わなくても、日常の延長として災害時に活用できる点が実証実験の基盤になっている。

 この取り組みは、学校給食で提供するロングライフ牛乳を、平時には給食で消費しながら備蓄として維持する「ローリングストック方式」を給食運営に組み込むことで、災害時の食料確保と給食の欠食防止を同時に実現する、学校給食を活用した防災備蓄の新たなモデルとして、全国で初めて実証を行うという(同社調べ、学校給食においてロングライフ牛乳を活用したローリングストック運用の実証として)。同社では、初期在庫として約4,500本(学乳供給本数の約9日分)を寄贈し、与論町が学校給食と連動した在庫循環の運用を行うとしている。

 同社によると、与論島では、台風や冬場のしけの影響によって航路の欠航や抜港が頻発する時期があるという。

 与論島に学校給食用牛乳を供給する乳業メーカーの調査によると、2026年1月には鹿児島から与論島へ向かうフェリーの26%が欠航・抜港、または条件付き運航になった。また、特に台風シーズンにあたる6~10月にかけては、航路の欠航や抜港が集中する傾向がある。こうした季節要因による物流制約が顕在化しやすい時期を見据え、台風シーズンの到来に合わせて6月から実証を開始することで、本モデルの有効性を検証する。また、大規模災害時は港湾機能の停止や道路の寸断が発生した場合、学校給食を含む生活物資の供給が途絶するリスクを抱えている。こうした状況は離島に限らず、山間部や豪雪地帯など、物流制約を抱える地域に共通する課題となりつつある。

 与論町で実証実験を行う背景として、同島は奄美大島と沖縄本島の間に位置する鹿児島県最南端の離島で、本土から約560km離れた洋上にあり、台風や冬場のしけによる航路の欠航・抜港が日常的に発生するなど物流制約が常態化している地域であることを挙げた。

 また同町は、1977年に日本で初めてロングライフ牛乳を学校給食に導入した地域でもあり、2027年には導入開始から50年の節目を迎えるという。天候に左右されやすい物流環境の中でも給食を安定して提供するため、冷蔵設備や短い賞味期限に依存しないロングライフ牛乳の運用が定着してきた。半世紀にわたるこうした給食現場での実績が、今回の防災備蓄モデルの実証につながった。今回の取り組みは、こうした地理的・歴史的背景と地域特性を踏まえて、既存の給食インフラとロングライフ牛乳の保存特性を組み合わせることで、平時の給食運用と災害時の備蓄を両立する防災備蓄の新たなモデルを検証する先進事例として位置付けている。

 実証実験は、従来の「使わずに保管する防災備蓄」とは異なり、学校給食を起点に、日常運用の中で備蓄を維持する新たな仕組みとして「既存の学校給食インフラを活用した備蓄モデル」「消費と備蓄を一体化したローリングストック運用」「平時利用と災害対応を両立する供給設計」の3点が特徴になる。これにより、備蓄を維持しながら、災害時における給食の欠食防止と日常運用の負担軽減を同時に実現することが可能になるとしている。

 同社では「日本テトラパックは、本実証で得られる知見を基に、離島のみならず、山間部、豪雪地帯、災害時の物流制約が懸念される地域においても、学校給食を起点としたロングライフ牛乳のローリングストックモデルの展開可能性を検証していきます」としている。

 ≪酪農経済通信/2026年6月12日付≫

 原題:日本テトラパックが与論島で実証実験開始


「ローリングストック」運用方法イメージ図
「ローリングストック」運用方法イメージ図

bottom of page