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明治、生乳受入検査自動化システムを公開 根釧工場で年間5,475時間の作業削減へ

  • 7月6日
  • 読了時間: 3分
公開された自動化システム
公開された自動化システム

 明治は7月2日、東京・八王子の研究開発拠点「明治イノベーションセンター」で、同社初となる生乳受け入れ検査の自動化システムを公開した。品質検査の自動化で省人化を図り、生産性の向上につなげる。2027年3月に生産開始予定の根釧工場(北海道中標津町)に導入予定で、人による生乳受け入れ検査の作業時間を年間で5,475時間削減できる見込み。

 公開された自動化システムには、ロボットアーム2台と画像検査カメラ2台、各種迅速測定装置4台を搭載。そのほかの周辺機器として検査に必要な器材をロボットの旋回半径内に配置しており、システム1機で生乳受け入れに必要な一連の検査を一つの工程として実施できる。

 理化学検査(品質測定、アルコール試験、比重測定、酸度滴定、組成分析)、微生物検査(総細菌数・体細胞数検査、抗生物質迅速検査)を自動化できるほか、目視での確認が必要な検査もシステムに搭載したカメラで対応できるため、官能検査項目である状態検査も色調判定の自動化が可能だ。風味検査を機械に代替する技術は開発途上のため、今回の自動化の取り組みからは除外した。また、検査の実施タイミングがほかと異なる抗生物質ペーパーディスク検査も対象外とした。

 導入予定の根釧工場では、運用効率などを考慮して一部の自動化方法を変更した上で、自動化が可能な検査項目8項目のうち、5項目(状態検査、アルコール試験、比重測定、酸度滴定、組成分析)を自動化する。人間の作業者と同等レベルの検査が可能で、受け入れ検査にかかる作業者の負担を1年間で5,475時間分削減できるという。なお、あくまで人による作業時間に対する削減効果であり、検査にかかる時間そのものを短縮するものではない。

 生産能力が生乳換算で年間43万tと同社最大規模の生乳受け入れ量を見込む根釧工場においては、少子高齢化で労働人口が減少する中、作業者の熟練度によって検査結果が左右されかねない生乳受け入れ検査の品質安定化や作業負荷の低減が急務だった。作業内容が多岐にわたる受け入れ検査の自動化は投資対効果が得られにくいという課題があったが、社内主導の開発により自動化が実現した。

 開発チームの発足は2022年で、従来の手作業での検査の分析や、開発メンバーのロボット技術習得などの基礎からスタート。人と同じ空間で作業が可能な協働ロボットを活用した検査の自動化案の策定と検証を進め、足掛け4年を経て実現に至った。社内リソースの活用で、検査ノウハウの適切な反映や開発コストの抑制が可能となり、自動化技術を持つ人材の育成にもつなげられるという。併せて、導入現場のニーズや機能追加に迅速に応えられる体制が構築できるとした。

 機械化に伴いデータ活用も容易になる。生乳の品質は地域や季節、飼料条件などにより変わることから、導入地域における数年間の生乳データを収集して検査精度を検証し、その結果を自動化システム設計に反映。今後のデータ収集・分析については、従来蓄積できなかった目視判定の基準になる客観的データの可視化などを含め、生乳状態のビッグデータ化を行い、それを生産現場にフィードバックすることで、長期的な生乳の品質向上につなげていく考え。

 今回の生乳受け入れ検査の自動化について、根釧工場以外への展開や、生乳受け入れ以外の各種検査へのノウハウの応用については、順次推進していくとした。同社の担当者は「システムを導入しても、ほかの作業者やローリーの運転手などが忙しいことは間違いない。ゆくゆくはそういったところも自動化できれば」と述べ、「工場の自動化だけではなく、酪農業界としてのAI活用や、フィジカルAIの実装などにもチャレンジしていきたい」と語った。

 (山根藍利)

 ≪酪農経済通信/2026年7月6日付≫

 原題:明治、生乳受入検査自動化システムを公開


双腕ロボがピペットなどを操作
双腕ロボがピペットなどを操作

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