熊本地震で酪農家28戸が被災、熊本県酪連2工場も停止――全酪連総会
- 8月3日
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全国酪農業協同組合連合会は2026年7月30日午後、東京・京橋の京橋エドグランで第77年度通常総会を開き、第76年度(2025年度)事業報告・決算および77年度(2026年度)事業計画・予算などを可決・承認した。
総会あいさつの冒頭、隈部洋会長は2026年7月28日に発生した熊本地震をめぐり「熊本の350戸余りの酪農家のうち、28戸が何らかの被害を受けている」と明かした。2016年の震災と比較すれば酪農家の被害は少なかったという認識を示しつつも、一部では牛舎が傾いて使用できなくなり、牛40頭程度の移動が必要になるなどの影響があったことなどを説明した。加えて停電により、発電機を利用しながらの作業を強いられている状況もあり、発電機の容量不足や燃料不足への不安も挙がってきているとした。乳業工場の被害に関して、熊本県酪連の2工場のうち戸島工場(熊本工場)については「非常に打撃を受け、(工場が)止まっている。稼働までには時間がかかる」としたほか、「菊池工場では自動倉庫が被害を受けたが、この倉庫が動き出せば製品はつくれる状況だ」と現状を説明した。
隈部会長は「まだ安否が確認されてない方もおられる。亡くなられた方のご親族にお悔やみを申し上げたい」と哀悼の意を表し、復旧・復興に向けて協力を求めた。
総会開催に当たってのあいさつで、酪農情勢は予断を許さない状況にあると話した後、2026年4月に福島県浪江町で本格稼働した復興牧場「シャインコースト」に触れ、「2026年10月には私どもの酪農技術研究所も併設し、稼働する。日本における酪農技術の拠点の一つとして責務を担いつつ、福島県酪農協や全酪アカデミーと連携し、次世代を担うリーダーの育成と労働力不足の解消を強力に推進していく」と力を込めた。
また、全酪連と全農、東北生乳販連、関東生乳販連が初めて共同出資して設立したらくのう乳業㈱については「2026年6月に新工場建設に着手した。2028年12月の稼働開始を目指す本工場は、東日本最大級の乳製品製造拠点となる」と話し、「長年の課題であった需給調整機能を抜本的に強化し、生産者の皆さまが安心して生乳を生産し続けられる環境を系統一丸となって構築していく」と話した。
新たに3コースが設置された全酪アカデミーについては「2025年度までに4組が酪農家としてスタートし、その生き生きとした姿は、周辺の酪農家にも刺激を与え、地域活性化の源となっているようだ」と述べ、就農後も経営支援を続けていくとした。
隈部会長は2026年7月に沖縄で開催した「全国酪農青年女性酪農発表大会」を振り返り、「台風9号の影響で悪天候が予想される中、多くのご来賓、関係機関、そして全国の酪友が一堂に集い、語り合い、切磋琢磨して親睦を深め合う大変貴重な2日間となった。全国の酪農家は、これからも本大会を通じて酪友のつながりを大切にして、気持ちを高め合ってほしい」とした。
さらに、2025年4月に制定された新たな酪肉近代化基本方針に対しては「長命連産、国産飼料の利用拡大、牛乳乳製品の需要拡大、そして生産者や関係者が誇りを持ち、若い世代に魅力ある畜産業を実現するための方向性が示された。全酪連として、これらの方針に応えるため、会員組織強化や酪農関連団体との連携を深めていく」と話した。
2026年7月に韓国で感染が確認されたランピースキン病について、日本でも届出伝染病から家畜伝染病へ格上げされたことを踏まえ、「ワクチン接種、殺処分、移動制限などが義務付けられた。今後も感染を防止するためには、酪農家をはじめ関係者の皆さまの日頃の防疫対策への継続した取り組みが最も重要な課題だ」と述べ、出席者らを激励した。
最後に隈部会長は全酪連が2021年度に策定した「全酪連将来ビジョン」の基本姿勢には「持続的な酪農生産基盤の構築」を掲げたと述べ、「この将来ビジョンに基づく具体策として、販売事業の強化、業務効率化を柱とした第13次中期事業計画に基づき事業を推進していく。計画を着実に実行し、現場の酪農家に寄り添う姿勢を明確にしつつ、わが国の酪農が直面する様々な課題に対応していく。計画を全役職員が認識し、全酪連が次の段階へステップアップすることを目指し、『ネクストステージ全酪』を合言葉に、酪農家の皆さまが前を向いて進めるよう励んでいく」と結んだ。
(山根藍利)
≪酪農経済通信/2026年7月31日付≫
原題:全酪連通常総会で隈部会長が震災被害説明
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