畜安法のあり方など3項目を重点化 道酪対が2027年度予算へ政策提案
- 4月17日
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【札幌】北海道農協酪農・畜産対策本部委員会(道酪対)とホクレン生乳受託販売委員会の合同会議が4月15日に開かれ、2027年度予算に向けた政策提案を決定した。
「畜安法のあり方」など3項目を重点項目に設定し、持続可能な北海道農業の確立によって食料安全保障の強化に貢献できるよう、酪農畜産生産基盤の強化に向けた基本政策の確立と、2027年度予算の万全な確保を求めていく。
世界的に食料・農業を巡る環境が大きく変動し、食料安全保障の強化が大きな課題となる中、JAグループ北海道は、食料・自給飼料などの安定生産・安定供給と農業の環境負荷低減の両立を基本とする「食料安全保障の強化と持続可能な北海道農業の確立に向けた展開方向」を2022年12月に策定した。
一方、政府は2024年に改正食料・農業・農村基本法を施行し、25年4月には新たな食料・農業・農村基本計画と酪肉近代化基本方針を策定した。基本計画では、平時から食料安全保障を確保する観点から、初動5年間で農業の構造転換を集中的に推し進めることとしている。
これらを踏まえ、道酪対では食料安全保障の強化に向けた北海道の酪農・畜産の持続的発展に必要な対策を2027年度農業予算に反映させる観点から、組織討議で生産現場の意見を集約しつつ、基本農政対策本部や他作目別対策本部と連携の上、26年度の運動を展開していくこととした。
2月16日の道酪対で11のテーマを設定した組織討議資料を決定。これを基にした地区・JAでの組織討議や、生産現場の声を踏まえ、9項目の提案内容を決めた。
提案内容は、①畜産経営の安定に関する法律のあり方②酪農畜産経営安定対策③需要拡大・需給安定対策④飼料対策⑤酪農・畜産生産基盤強化対策⑥輸送対策⑦畜産環境対策⑧金融対策⑨家畜疾病・防疫対策――で、このうち①~③を重点項目とした。
「畜産経営の安定に関する法律のあり方」については、「省令改正等の効果検証」として、これまでの省令改正の検証と生産現場の課題を踏まえた対策の展開、生乳出荷・契約・流通における明確かつ公平なルールの設定を求める。
また、「クロスコンプライアンスの着実な実施と平等な負担」として、加工原料乳生産者補給金を生乳需給安定クロスコンプライアンスの対象とすることなどを要望する。
併せて、需給調整に取り組む指定団体への出荷によって生じる生産者の不利益を解消する仕組みと、指定団体機能の強化に対する支援も求める。
「酪農畜産経営安定対策」では、「適正な価格形成と経営安定対策の見直し」として、飲用牛乳に限らず全ての畜産物を食料システム法の指定品目とするとともに、各種経営対策に生産現場の実態に即した生産費等を反映するなど、十分な予算の下での経営安定対策を求める。
酪農経営安定対策としては、加工原料乳生産者補給金・集送乳調整金について、直近の生産コストが適正に反映される仕組みの下、当初予算で酪農経営の安定が確実となる交付対象数量と単価を確保するよう求める。
加えて、加工原料乳生産者経営安定対策事業で十分な予算を確保するとともに、事業機能拡張の検討に当たっては、生産現場の実態や意見を十分に踏まえることを要望する。
肉用牛経営安定対策として、マルキン事業をはじめとした各種経営安定対策に、生産現場の実態に即した生産費等を反映するなど、十分な経営支援対策を講じることを求める。
養豚経営安定対策としては、肉豚経営安定交付金(豚マルキン)の制度見直しを含めた、十分な経営安定対策を求めている。
「需要拡大・需給安定対策」では、国が酪肉近で掲げる生乳需要の拡大と需給安定化に向け、底堅い需要があるチーズ向け生乳を支援するとともに、生産者が中長期的に安心して生産できるよう、一層の需要拡大等に取り組むことや、国が需給調整の責務を担うことを要望する。
また、多様な消費者ニーズに対応した肉用牛生産や輸出等、生産現場の取り組みに対する積極的な支援を求める。特に、テーブルミートとしてニーズが高い交雑種や乳用種の需要拡大支援の強化も要望する。
「飼料対策」では、食料安全保障の強化や、酪肉近が定める国産飼料基盤に立脚した酪農畜産経営への転換を確実に実行するため、飼料作付面積の維持・拡大を図る既存事業の見直しを含めた十分な支援と予算措置を要望する。
具体的には、オペレーター不足や施工コストの上昇などで草地更新ができない実態を踏まえた自力施工への支援や、整備基盤の補助率の見直し、野生鳥獣被害防止に向けた頭数削減、飼料管理施設への侵入防止対策支援、粗飼料の収穫・輸送時の労働時間に関する規制緩和などを挙げた。
「酪農・畜産生産基盤強化対策」では、生産基盤の維持・強化の実現に向けた畜産・酪農収益力強化整備等特別事業などの十分な予算措置とともに、乳用牛長命連産性等向上推進支援事業や暑熱対策についても、十分な予算の確保を求める。
また、飼料生産組織や酪農ヘルパー利用組合などの外部支援組織の人材確保と、施設投資に対する支援措置も要望する。
「輸送対策」では、生乳輸送について、直近の輸送コストが確実に反映される仕組みを講じるよう求める。
家畜生体輸送については、労働時間の制約による輸送量の減少や、トラックドライバーの人材不足による輸送業者の撤退が懸念されるため、労働時間等の輸送に関わる規制緩和などについて、農水省が主導し、省庁横断的な支援策を早急に講じるよう求める。
「畜産環境対策」では、家畜糞尿のエネルギー利用や良質堆肥の生産・広域流通などについて、地域特性や経営実態に応じた資源循環の取り組みを推進するため、省庁横断的な支援の拡充を挙げた。
「金融対策」では、農林漁業セーフティネット資金などの資金償還がピークを迎えることに加え、国際情勢の変化による営農コストの上昇や、施設・機械価格の急激な上昇などが償還の大きな負担となる可能性があるとした。
このため、償還期間の延長など、金融機関等との十分な連携の下、個々の経営実態に応じた柔軟な対応を求める。
「家畜疾病・防疫対策」では、2026年に和牛全共北海道大会を控える中、近隣諸国で口蹄疫やASF(アフリカ豚熱)が発生していることに加え、24年に国内で初めてランピースキン病が確認されたことから、まん延防止に向けた空港などでの水際対策や家畜伝染性疾病対策の充実・強化、十分な予算の確保を要望する。
ヨーネ病やサルモネラ症など、地域の課題となっている家畜疾病については、検査や清浄化対応に対する生産現場の負担軽減と、経営継続に向けた万全な政策支援を求める。
(佐藤世一)
≪酪農経済通信/2026年4月17日付≫
原題:畜安法のあり方など3項目の重点項目設定
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