農水省、アニマルウェルフェア意見交換会の議事概要を公表
- 6月30日
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農水省は、「アニマルウェルフェアに関する意見交換会」の第6回会合の議事概要を公表した。
会合終了後に公表した資料によると、今回の会合では、「アニマルウェルフェアに関する飼養管理指針(AW指針)」発出後の取り組みをめぐり、同省が2025年6月に公表したAW指針の取り組み状況に関する初の本格調査(令和6年度調査)の結果を踏まえ、指針の「実施が推奨される事項」の各事項に関する適切な達成目標を設定することを目的に、同省の協力の下で設置した「達成目標年の設定にかかる専門的課題協議会」(事務局・畜産技術協会)が2026年3月に取りまとめた検討結果を報告したほか、その結果を踏まえた達成目標の案を示した。(関連記事を『酪農経済通信』2026年6月11日付に掲載)
畜種共通の目標は「あてはまる計」90%に
「達成目標年の設定にかかる専門的課題協議会」が取りまとめた検討結果によると、目標設定の全体的な方向性として「達成」の水準に関しては、令和6年度調査の回答選択肢のうち、アニマルウェルフェアを意識して取り組んでいる者として考えられる「あてはまる」と「ややあてはまる」と回答したものを合計した割合(あてはまる計)が「90%」に達することを最終的な目標の達成水準にするとした。既に「あてはまる計」が90%以上の項目については90%以上を維持しつつ、「あてはまる」の割合向上を目指すとしている。併せて「あてはまる計」が80%未満の項目は、現状から10%の向上を暫定目標とする。
このほか、目標設定期間については、食料・農業・農村基本計画等の見直し時期とタイミングをそろえて5年間ごとの目標設定を基本とし、調査は隔年で実施するとした。
「畜種共通の達成目標」として①アニマルウェルフェアに関する知識の習得②危機管理マニュアル等の整備③危機管理マニュアル等の関係者間共有④自然災害等の影響に備える事前対策の実施――に関する4項目は、持続的な経営を図る上で基礎となる項目であり、重点的に取り組むものとして畜種統一で目標を設定し、早期の「達成」を目指すとしている。このほか、畜種共通の目標は現状値にかかわらず、達成水準の「あてはまる計」90%とする。なお、それ以外の項目の達成目標については、目標設定の全体的な方向性に基づき目標を設定するとした。
AW知識習得、危機管理等で統一目標設定
その上で同省が示した具体的な目標の案によると、畜種共通の取り組みとして畜種ごとの事情の違いに左右されないような取り組み(項目)や、アニマルウェルフェアに配慮した畜産を営む上で基礎となるような項目は、畜種統一での目標を設定、畜産業全体で取り組みを推進するとした。
具体的には「アニマルウェルフェアに関する知識の習得」や昨今の状況を踏まえて「危機管理マニュアルの整備と関係者間共有」「自然災害等に備える事前対策の実施」に関する項目に統一目標を設定して普及を推し進めるとした。目標値は達成水準である90%を設定するとしている。
さらに目標達成に向けた対応として、研修会等を利用したAW指針の周知・広報の継続実施のほか、AWに配慮した施設(環境)の整備や畜種や地域ごとのAW研修の開催等への支援(補助事業)を挙げた。
災害マニュアルについては、農水省が公表している「農業版BCP(事業継続計画書)」等との親和性が高いことから、AWの観点からも周知に力を入れるとしている。
消費者向けの周知広報も力を入れてほしい
議事概要によると、出席者からは調査内容や目標の設定をめぐり、「現在の調査は『実施が推奨される事項』のみであり、回答選択肢も“あてはまる”“ややあてはまる”等と明確でない。設問を整理し、明確に回答できる設問とすることで、より実態が把握されるものと考える。その上で『将来的な実施が推奨される事項』については、今のところ取り組み状況を把握できていないため、その目標設定は今回の目標の達成状況を見ながら慎重に検討する必要があり、まだ難しいとの印象」との意見が出たほか、「目標設定について丁寧に議論されてきた印象。一方で令和12年度目標ということで令和7年から5年の期間があるので、目標の達成にむけた対応については最初の1~2年を目安に集中的に取り組んでいただき、その後も進捗状況を踏まえながら、より具体的な推進方策を検討・実施してほしい」と、継続的な検討を求める意見も挙がった。
また、調査結果に関しては「調査結果では『あてはまる』『ややあてはまる』の割合が多く占めており、普及が進んでいるものと理解している一方で、十分な回答数を得ているとの説明があったが、回答者がAWに理解がある方に偏っており、あまり関心がない層が取りこぼされているのではないか」との懸念と併せて、農水省として回答数を上げる考えはあるのかといった指摘もあったという。
また、調査自体に周知の効果があるとした上で、「AWに配慮しているかといった曖昧な設問については具体的な取り組みを把握できるように見直すことで、実態把握と併せて回答者の理解度向上が図られ、より良い調査となるのではないか」との問題提起もあった。
消費者への理解醸成をめぐって「日本では消費者のAWへの理解が低いとの調査結果も出ている。生産者だけが知っていても、消費者に知っていただかないと需要と供給の関係が成り立たないため、消費者向けの周知広報についても力を入れていただきたい」との意見もあったという。
出席者からの意見や質問に対して事務局は「今回の令和12年度目標は、まずは『実施が推奨される事項』について生産現場の方にしっかりと取り組んでいただくための目標としたい考え。この先AWの取り組みが進めば、いつかは『将来的な実施が奨励される事項』についても目標を検討する時期が来ると考えるが、その際は、どのように実現できるのか、現場に導入した際の家畜への影響等を科学的に明らかにしながら進めていきたい」と答えた。
調査数をめぐっては「調査はAW指針の周知も兼ねており、一人でも多くの生産者の方に調査を案内しているところであるが、回答者の偏りは否定しきれない。一方で、回答者のコメントにはAWへの否定的な意見も見られ、関心の高い人だけが回答しているわけでもないと思料(しりょう)。回答数について、今後はさらに増やしていきたい」と答えている。
(斎藤丈士)
≪酪農経済通信/2026年6月30日付≫
原題:農水省「AW意見交換会」が議事概要公表
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