雪印メグミルク、工場再編で生産体制を進化 佐藤雅俊社長が株主総会で方針
- 6月25日
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【札幌】雪印メグミルクの第17回定時株主総会が札幌市の札幌プリンスホテル国際館パミールで開かれ、2025年度事業報告を行うとともに、2026年度のグループ経営方針と取り組みの方向性、2025年5月に策定した新経営計画「Next Design 2030」の進捗状況について説明。佐藤雅俊社長は経営計画で掲げた「アセットの大変革」に引き続き力を入れる考えを強調し、「新たな発想で生産体制を進化させていく」と述べ、工場再編やグローバル戦略を含む経営計画の実現に意欲を示した。総会では取締役の選任など3つの議案を全て原案通り承認した。
2026年度は需要の創出などで増収増益を計画
同社の2025年度実績は売上高6,157億円で前年並みとなったが、営業利益は182億円で前年比4.5%減少。買い入れ乳量は96.8万tと前年を0.4%上回ったほか、セグメント別では、乳製品はバターが好調で増収増益となったものの、飲料・デザート類は価格改定の影響などで販売量が減少し、減益の要因となった。
経営計画の2年目となる2026年度は、経営方針「BEYOND BORDERS.」の下、5つの重点取り組み事項を設定し、売上高6,450億円(前年比4.7%増)、営業利益210億円(同15.0%増)の増収増益を見込む。
前年の価格改定による効果をはじめ、収益力のある商品の販売拡大を計画し、乳製品セグメントでは、主力商品である「さけるチーズ」の新たなターゲット層獲得や主要ターゲット層の深掘りにより需要を拡大するほか、キャンペーンなどを通じた「雪印バター」「6Pチーズ」などロングセラー商品の販売拡大、手軽に楽しめる「チーズソース」などの新たな食シーン創出に取り組む。
飲料・デザート類セグメントでは、収益性が高く、独自の機能を持つ商品の販売拡大として、「MBPドリンク」のマーケティング強化や、「ガセリ菌SP株ヨーグルト」の機能価値の浸透、消費者の節約志向の高まりなどにも対応した強みのある商品の拡大、牛乳・乳飲料については賞味期限延長によるサプライチェーンの最適化に取り組み、生産性向上と販売機会の拡大、廃棄ロス縮小などにつなげる。
このほか、海外事業では粉ミルク事業の戦略転換やチーズ事業の構造改革、機能性素材の拡大による利益創出や、国内機能性食品事業については前年の価格改定効果による収益性改善や定期顧客数の拡大を計画。
プラントベースフードについては、この春発売したチーズに加え、現在は販売を中止しているヨーグルトを再度市場に投入するほか、海外における生産工場の稼働などを通じ、着実に市場を獲得していく考えを示した。
組織の壁や役割の壁を越え成長の原動力に
総会で佐藤社長は、2026年度の経営方針について「組織の壁や役割の壁を越え、グループ全体の資源と力を結集することで、持続的成長の原動力とする」とし、「グループの変革と個人の進化を両輪に、戦略の実効性を高め、いかなる環境変化にも揺るがない、強靭な経営基盤を構築していく」と説明。Next Design 2030の推進をはじめ、投資やDXなど5つの重点取り組み事項を推進することにより、「中長期的な企業活動の最大化とビジョンの実現にまい進していく」と述べた。
また「2030年に向けて食の持続性という課題に取り組み、長期的な企業活動の向上を目指し、雪印メグミルクアセットの大変革を掲げ、さまざまな施策に取り組んでいる」と述べ、Next Design 2030の進捗と取り組みについて報告。神戸工場、興部工場に続き、2028年度上期を予定する川越工場の生産終了と関東地区の再編方向を発表したことに触れ、「これまでの枠組みにとらわれない、協業や再編による最適化という新たな発想による生産体制の進化」として、海老名工場および野田工場の増強とルナ物産株式会社への委託により、生産機能を移転・集約することを説明。国内製造拠点の20~30%を協業または再編する方針を改めて示し、なかしべつ工場の475億円をはじめ、関東地区の再編で109億円の投資を予定しているが、これによって「生産性は大きく向上する見込み」と述べ、2028年度から利益創出フェーズに転換するとの見方を示した。
興部閉鎖の影響大、負担軽減へ対話重ねる
総会では、株主から興部工場の生産終了に関する影響や酪農支援の取り組みなどについて質問があった。
これに対し、酪農担当の若林偉彦常務執行役員は、酪農総合研究所が実施する実証圃場事業を通じた経営改善や、環境面では堆肥の強制発酵によるJ-クレジットの購入、日本酪農青年研究連盟をはじめとした担い手支援などの取り組みについて説明し、「酪農生産者が安定して搾れる環境をつくっていくのが当社の使命」と述べた。
佐藤社長は「興部工場の閉鎖は従業員にとっても地域社会にとって非常に大きな影響がある。当社の工場統廃合は単なるコスト削減ではなく、中長期的に持続可能な酪農乳業の構造を変える大きな目的を持ったもの。人口減少による需要の減少、コストの上昇という環境の中、分散した生産体制を維持するのは非常に厳しい。生産拠点を集約することによって生産性を高め、生産効率を上げることにより、安定的に酪農生産者が生産した生乳を確実に集乳し、事業を継続し、酪農生産者の皆さんと共に成長できることが目的。地域コミュニティーや酪農生産者の皆さんとしっかり対話を重ねながら、負担が限りなく軽減できるよう進めていきたい。今後も北海道の酪農乳業の成長に向けて取り組んでいきたい」と理解を求めた。
(高田康一)
≪酪農経済通信/2026年6月25日付≫
原題:新たな発想で生産体制の進化を―佐藤社長
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