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《全共プレイバック》最高位賞は北海道・木村さん出品牛 第16回全日本ホルスタイン共進会《1》

  • 7月12日
  • 読了時間: 5分

更新日:7月27日

全国358頭の頂点に立った木村さん。「ホッとした」が第一声だった
全国358頭の頂点に立った木村さん。「ホッとした」が第一声だった

 10月25、26日に北海道胆振管内安平町で開かれた第16回全日本ホルスタイン共進会には、39都道府県の予選を通過したホルスタイン358頭、ジャージー28頭の計386頭が出品された。最高位賞には、木村吉里さん(北海道オホーツク管内遠軽町、46)出品のサニーウエイ アストロ マツカチエンが選ばれ、“酪農の王国”北海道の貫禄を示した。一方で、都府県勢の躍進も目立ち、牛づくりを通じた地域のつながりを再認識する大会となった。

 ※本記事は、月刊デーリィマン本誌(2025年12月号)に掲載した記事を3本に分け、デーリィマンプラス向けに一部体裁を整えて掲載するものです。


地元の北見地方ホルスタイン改良同志会のメンバーから胴上げされた木村さん。会場からは祝福の声と拍手が
地元の北見地方ホルスタイン改良同志会のメンバーから胴上げされた木村さん。会場からは祝福の声と拍手が

開催地の誇りを示す体型の完成度


 大会2日目正午を迎えた北海道ホルスタイン共進会場のリングには静かな緊張感が漂っていた。最高位賞を決める最終審査で、名誉賞を獲得した代表牛が横一線に並ぶと、観客席のざわめきはぴたりと止まり、視線は入江正和審査委員長(独立行政法人家畜改良センター理事長)の動きに集まった。審査委員長がゆっくりとリング内を移動すると、観客席から自然と手拍子が起こり、緊張と期待を帯びたリズムが徐々に場内へ広がった。ふと足を止め、腕を伸ばして1頭に歩み寄った瞬間、拍手と歓声が一気に爆発した。

 リング中央で堂々と頭を上げたのは、北海道遠軽町の木村さんが出品したサニーウエイ アストロ マツカチエン(16部、6歳以上)。同牛は2023年北海道B&Wショウ、24年北海道ホルスタインナショナルショウのグランド・チャンピオンに輝いた有力牛だが、全共までの道のりは決して順調ではなかった。9月2日の分娩後に体調を崩し、乳房炎も患い、予選を兼ねる北見管内総合家畜共進会には回復途中で出場。「何とか枠内に拾ってもらった感じ」と木村さん。本大会に向けた仕上げには細心の注意と根気が求められた。

 最高位賞決定審査の前、14〜16部の名誉賞に決まった直後、木村さんは「ホッとしている。コンディション調整が大変だったので、牛も人も休ませてあげたい」と率直な胸の内を語っていた。そうした苦労のかいもあって、最高位決定の舞台では、分娩後の影響を感じさせない体の伸び、乳房の高さと幅、安定した歩様など総合力の高さが高く評価された。観客席からは「最後にしっかり上げてきた」「完成度が違う」との声が聞かれ、北海道勢の地力の強さを印象づけた。

 受賞後、木村さんは牛の頸をそっとなでながら「去年のナショナルショウのチャンピオンなので、うれしいより安堵の気持ちが大きい」と語った。北見地方ホルスタイン改良同志会の仲間から胴上げされ、会場は祝福の拍手に包まれた。「アドバイスや出品関連の手伝いなどお世話になった」と仲間への感謝も口にした。

 今大会の頂点に立ったサニーウエイ アストロ マツカチエンは、開催地の誇りを象徴する1頭となった。


前田会長は過去最多の386頭の出品に「乳牛に対する意欲と熱意、酪農への強い思いの表れ」と述べた
前田会長は過去最多の386頭の出品に「乳牛に対する意欲と熱意、酪農への強い思いの表れ」と述べた

10年ぶりの開催に「感慨もひとしお」


 第16回全共は、前回の北海道大会から実に10年ぶりの開催。20年開催予定の第15回九州・沖縄ブロック大会はコロナ禍により中止となったが、全国の酪農家が一堂に会する舞台がようやく戻ってきた。主催者を代表して一般社団法人日本ホルスタイン登録協会の前田勉会長は「感慨もひとしお」と述べ、改良の原点である体型審査と後継者育成の重要性を強調した。

 今大会には、全国39都道府県から選抜されたホルスタイン358頭とジャージー28頭、計386頭が出品され、過去最多。出品審査は未経産・経産の各部に分かれ、ホルスタイン16部、ジャージー4部の計20部構成。このうち国産種雄牛の後代検定の成果を示す「Jサイア娘牛部門」が3クラス設けられた。

 審査の基本方針について、入江審査委員長は「この10年の間にトップクラスの牛がどのように改良されてきたかを確認できる機会。大いに期待している」と話し、登録協会の審査標準に基づき厳正・公平に審査する姿勢を示した。審査は円形歩行と並列審査を組み合わせ、体貌と骨格、乳器、肢蹄、乳用強健性などを総合的に評価。近年の改良方向とされる“長命連産性を支える強健性”をどのように体現しているかが焦点となった。

 開催地を代表してあいさつした加納孝之・北海道副知事(鈴木直道知事代理)は、10年ぶりの全共が北海道で開催されたことを「大きな喜び」と語り、全国からの出品者を歓迎した。今大会から、高校日本一を決めるハイスクール・デイリー・グランプリ(ハイスクールGP)が新設されたが、これについても、若者が将来を託せる畜産業づくりの重要性に触れ、「この経験を今後の牛づくりに生かしてほしい」と激励した。

 こうした関係者の言葉に象徴されるように、全共は単なるショーにとどまらず、乳牛改良の現状と未来、そして次代の担い手を育てる場としての意義も重要だ。協賛行事として酪農資材器具展も併催され、生産現場を支える最新技術や資材が並んだ。付帯行事が開かれた23〜24日を含む4日間の来場者は、10年前の3万1,000人を上回る約3万3,000人に達した。

 続く《2》では、未経産・経産の名誉賞牛やハイスクールGP、都府県勢の躍進を紹介する。


《2》はこちら


初出:月刊デーリィマン2025年12月号

初出企画:特集 第16回全日本ホルスタイン共進会 北海道大会

原題:「仲間のおかげ」――牛づくり通じた地域のつながりを再認識

   最高位獲得含め貫禄見せた北海道、都府県勢も躍進

※本記事は掲載時点の内容です。

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