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《全共プレイバック》資材展とセールに見る改良の次の一手 第16回全日本ホルスタイン共進会《3》

  • 7月14日
  • 読了時間: 4分

更新日:7月27日

併催した酪農資材器具展では熱心に質問する生産者が多く見られた
併催した酪農資材器具展では熱心に質問する生産者が多く見られた

 第16回全日本ホルスタイン共進会では、審査会場に隣接して酪農資材器具展が開かれ、繁殖・改良、牛群管理、飼料などに関する最新の技術や資材が紹介された。《3》では、企業展示とゴールデン・ナショナルセール、そして大会全体の総括を取り上げる。

 ※本記事は、月刊デーリィマン本誌(2025年12月号)に掲載した記事を3本に分け、デーリィマンプラス向けに一部体裁を整えて掲載するものです。


繁殖・改良への高い関心に応える企業展示


 審査会場隣接の大型テントで開かれた酪農資材器具展には約90の団体・企業が出展。「畜産機器・資材」「団体」「飼料」「畜産用薬品」「牛群管理システム」「国産・輸入精液」「出版・教育・その他」の7分野にジャンル分けされ、幅広く最新動向が紹介された。

 一般社団法人家畜改良事業団は厳しい酪農情勢の中、種雄牛造成、牛群検定、遺伝子型検査など同事業団が担う基盤技術の重要性を強調。会場では今大会に出品されたJサイア娘牛を写真入りで掲示していた。そのうちの1頭である熊本県合志市の衛藤彰一さん(62)が出品したサンライズ ロツク ハーゲンは、同事業団の種雄牛として採用された自家産牛・サンライズ ジオング シヤムロツク ET(JP5H58237)の娘。父牛は母系には名血“ロータミー タイタニック”ファミリーを背景に持ち、「雄大なフレームで乳用強健性に優れ、ロボット搾乳向けの乳頭配置も魅力」と評価されている。今回、自家産種雄牛の娘牛を全共のリングに送り込んだ繁殖者は衛藤さんのみで、その点でも注目が高かった。

 オリオン機械㈱は「つながるデータ、進化する酪農」を掲げ、来年4月発売予定のクラウド型飼養管理システム「デイリーネット」と、AI(人工知能)が跛行(はこう)とボディーコンディションスコアを自動算出する「キャトルアイ」を展示。キャトルアイはパーラー頭上に設置したカメラで牛の歩様を撮影し、削蹄後のスコア変化なども高い精度で捉えられる。

 飼料分野ではフィードワン㈱が秋から全国展開している搾乳牛用飼料「ルミナス」を紹介。ゲノム改良と搾乳技術の進展で乳量が伸び続ける中、脂肪酸製剤の強化、クロムの配合、活性酵素の採用により「高泌乳と体調維持の両立」を狙った設計に関心が寄せられた。

 ㈱野澤組のテーマは「Farm to Table」。畜産部門では輸入精液を販売し、食品部門ではチーズ製造まで一貫して手掛ける同社の事業を繊維部門も含め紹介し、多角化企業としての事業構造を示した。


開始前から会場に多くの人が詰めかけたゴールデン・ナショナルセール
開始前から会場に多くの人が詰めかけたゴールデン・ナショナルセール

遺伝資源への関心示したゴールデン・ナショナルセール


 併催イベントとして25日夕方に行われたゴールデン・ナショナルセールでは、24年1月〜25年2月生まれの雌牛38頭が上場された。

 いずれも将来の牛群づくりや繁殖基盤の強化に向け選抜されたもので、購買者とのやり取りからも、次世代の改良につながる遺伝資源への関心の高さが感じられた。最高価格は北海道石狩管内恵庭市の有限会社福屋牧場が出品したサクランド ハズイツト ロエヴエ ET(24年1月6日生)の400万円。6部に出品され、優等賞2席を獲得していたこともあり、落札価格を伸ばしていった。

 資材展とセールの両方に共通して見られたのは、AI・クラウド管理技術の進展と、繁殖・改良に対する高い意識だ。出展者の説明に聞き入る酪農家の姿が多く見られた。


次の開催地、「できるだけ早く知らせたい」


 10年ぶりの全共。そのリング脇では、若手からベテランまで、出品者たちの言葉に“現場の温度”が宿っていた。調子を崩しながらも立て直して出場にこぎつけた牛、家族で仕上げを重ねた牛、長く受け継がれてきた自家繁殖ファミリーの娘。いずれの背景にも、地域の仲間や後継者、技術者の支えがあった。名誉賞や優等賞1席に立った出品者の多くが「みんなのおかげ」と語ったのが象徴的で、牛づくりを通じた地域のつながりと協働の力が、リングの内外に満ちていた。

 閉会のあいさつに立った北海道ホルスタイン農業協同組合の山口哲朗代表理事組合長(日本ホルスタイン登録協会副会長)は、各地から集まった出品者の努力とこの10年の改良の成果に触れつつ、「今回を契機に、全共が未来永劫続いていく大会になってほしい」と強調。次回の第17回大会の開催地については「まだ決定には至っていない。候補地の検討を進めており、できるだけ早くお知らせしたい」と現況を伝えた。

 改良の現場を担う生産者と後継者、乳牛改良同志会、そして関係企業・団体。多様な力が結集した成果がショーリングで交わった今回の全共は、今後の酪農・乳牛改良の方向性を改めて示した。次回大会の開催地がどこになるにせよ、この日リングに立った牛と人の歩みが、未来の酪農を支える礎となっていく。

 【文・斉藤宏之/写真・本誌全共取材班】


《2》はこちら


初出:月刊デーリィマン2025年12月号

初出企画:特集 第16回全日本ホルスタイン共進会 北海道大会

原題:「仲間のおかげ」――牛づくり通じた地域のつながりを再認識

   最高位獲得含め貫禄見せた北海道、都府県勢も躍進

※本記事は掲載時点の内容です。

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