放牧酪農の経営改善を共有 天塩町・高原牧場で勉強会

フォンテラジャパン株式会社は9月13日、北海道天塩町の高原牧場で「放牧酪農勉強会」を開いた。酪農家や新規就農希望者、JA、行政関係者ら30人が参加し、草、土、牛の状態を現地で確かめながら、購入飼料を抑えた放牧経営と収益性向上について学んだ。
勉強会は、ニュージーランド政府、ファームエイジ株式会社、フォンテラジャパンの3者が進める「ニュージーランド・北海道酪農協力プロジェクト」の一環。北海道とホクレンの協力を得て、ニュージーランドの放牧酪農の知見を北海道の環境に合わせて取り入れ、酪農経営の収益性と持続可能性を高める取り組みを2014年から進めている。
高原牧場は同プロジェクトの開始当初から調査対象農場として参加し、放牧酪農を実践してきた。搾乳頭数は約42頭、放牧地は25ha。フォンテラジャパンによると、年間労働時間を約3割削減する一方、所得を約3倍に高めるなど、経営と働き方の両面で成果を上げている。
勉強会では、高原弘雄氏がプロジェクト参加後の経営改善と、成果につながった要因を紹介した。参加者は牧場内を歩き、放牧地の草量を測るライジングプレートメーターも使いながら、草地の状態や放牧地の活用方法を確認した。
公開ディスカッションでは、乳価が下がった場合にも放牧酪農で経営を維持できるのかをテーマに意見を交わした。高原氏は、高価な購入飼料をできる限り抑え、放牧を中心に経営することが重要との考えを示した。
プロジェクトの新たな放牧酪農コンサルタントとして来日したブルース・ソロルド氏は、乳価の変動が大きいニュージーランドの経験を紹介。乳価が下がってから対応するのではなく、将来の変化を見据えて放牧システムを含む経営管理に取り組み、失敗した場合も見直しと改善を重ねることが、変化に強い経営につながると説明した。
ソロルド氏は、ニュージーランドの酪農生産者を支援する組織「DairyNZ」に25年間勤務し、チーフ・サイエンス・アドバイザーなどを務めた。自身も酪農家で、ワイカト地域の牧場を共同所有し、放牧と季節分娩によって乳牛330頭を飼養している。
勉強会には、2年後の新規就農を目指す夫婦も参加した。就農時の投資や目指す経営への近づき方について助言を受けたいとし、成功事例だけでなく、実践農家が経験した失敗からも学びたいとの考えを示した。
高原氏は2027年、新たにもう1カ所の牧場を経営し、放牧地を活用して収益を生み出す経営を実践的に学べる場として、人材育成にも取り組む予定。プロジェクトは今後、これまでの実証成果を広く伝える段階へ移り、勉強会や担い手育成を通じて北海道における放牧酪農の普及を目指す。
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