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見て、触れて、味わう牛乳の魅力 「ミルクフェス in 豊洲2026」

9 時間前
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昨年も好評だった「47都道府県の牛乳飲み比べ」コーナーには、今年も多くの来場者が列をつくった
昨年も好評だった「47都道府県の牛乳飲み比べ」コーナーには、今年も多くの来場者が列をつくった

 牛乳・乳製品を見て、触れて、味わいながら、その背景にある酪農にも親しむ「牛乳でスマイルプロジェクト ミルクフェス in 豊洲2026」が10月17日、東京都江東区の豊洲公園で開かれた。主催は一般社団法人Jミルク。47都道府県の牛乳飲み比べをはじめ、ヨーグルトエリア、牛親子の展示、体験型企画や商品の試飲・販売など、多彩な催しに多くの親子連れが訪れた。【文・写真=斉藤宏之】 ※公開後1週間、無料でご覧いただけます。


オープニングで、牛乳・乳製品を安定的に消費する重要性を訴える農林水産省畜産局の谷村局長
オープニングで、牛乳・乳製品を安定的に消費する重要性を訴える農林水産省畜産局の谷村局長

年末年始の需要対策へキックオフ


 開場前に行われた関係者向けの朝会で、Jミルクの渡辺裕一郎専務理事は、学校給食がなくなり牛乳需要が落ち込む年末年始に向け、同フェスが消費拡大に取り組む上でのキックオフになると説明。出展者に対し、来場者を笑顔で迎え、安全にイベントを運営するよう呼び掛けた。

 ミニステージのオープニング「牛乳で乾杯!」では、農林水産省畜産局の谷村栄二局長があいさつした。牛は急に増やしたり減らしたりできず、生産を調整しても成果が表れるまでには時間がかかることから、牛乳・乳製品を安定的に消費することが重要だと説明。飲用牛乳の消費量が若干減っていることに触れ、会場で味わった商品を次の購買につなげてほしいと呼び掛けた。子どもが多く集まったことには「非常に心強く感じている」とし、「我々としては、作る方も食べる方も応援していきたい」と話した。

 続いてJミルクの大貫陽一会長が、牛乳でスマイルプロジェクトには全国の企業や団体、自治体など約1,300のメンバーが参加していると紹介。今夏は暑さによる乳量減少が比較的小さかった一方、牛乳消費は伸びておらず、学校の冬休みを控えて難しい需給局面を迎えるとの認識を示した。同フェスを牛乳・乳製品に親しむきっかけにしてほしいと述べ、開会を宣言。「牛乳で乾杯!」の掛け声とともにイベントはスタートした。


来場者に乳牛や酪農について説明する交牧連の青沼光さん(富山県高岡市・clover farm代表)
来場者に乳牛や酪農について説明する交牧連の青沼光さん(富山県高岡市・clover farm代表)
ミニステージの「酪農家さんの紙芝居」には多くの親子連れが集まり、牛や酪農について楽しく学んだ
ミニステージの「酪農家さんの紙芝居」には多くの親子連れが集まり、牛や酪農について楽しく学んだ

本物の牛と餌から酪農を知る


 会場の一角では、地域交流牧場全国連絡会(交牧連)の加茂太郎さんが所有する成牛1頭と子牛2頭が展示された。全国各地から集まった交牧連のメンバーが牛の管理や来場者への説明に当たり、親子連れが牛を間近で観察したり、記念写真を撮ったりしていた。

 加茂さんは、来場者との会話も同フェスの意義だと感じている。取材前には、年配の男性に千葉県内の酪農の昔と現在について説明している姿も見られた。

 中でも印象に残ったのが、父親と訪れた小学生の女の子だった。「将来は酪農家になりたい」と話し、日頃から本やインターネットで酪農や牛について調べているという。牛が何を食べているのか尋ねられた加茂さんが「TMR」と答えると、女の子はすぐに反応した。別のブースで実物の餌を展示していると教えると、興奮した様子で走っていった。知識として知っていたTMRと実物の餌が、会場で結び付いた場面だった。

 加茂さんは、小学生の女の子本人から直接「酪農家になりたい」と聞いたのは初めてだったといい、「うれしいですね」と笑顔を見せた。

 中央酪農会議のブースでは、交牧連のメンバーが来場者への説明や体験の補助を担った。牛の模型を使った模擬搾乳のほか、牧草や配合飼料、飼料米、豆腐粕、ビール粕、パイナップル粕など約20種類の餌を展示。乳牛が多様なものを食べていることを、実物を見ながら学べる内容とした。交牧連の大井幸男会長は「全国規模でメンバーが協力する機会はなかなかない」と話し、同フェスを各地のメンバーが力を合わせる貴重な場と捉えた。


スキムミルクとレシピブックを配布し、料理への活用方法を紹介した雪印メグミルクのブース
スキムミルクとレシピブックを配布し、料理への活用方法を紹介した雪印メグミルクのブース
脱脂粉乳由来の繊維を使ったTシャツなどを展示・販売した「moment of MILK」のブース
脱脂粉乳由来の繊維を使ったTシャツなどを展示・販売した「moment of MILK」のブース

脱脂粉乳の新たな出口を提案


 会場では、業界課題となっている脱脂粉乳の利用拡大に向けた提案も目立った。

 雪印メグミルクは、脱脂粉乳を原料とする「毎日使える スキムミルク」とレシピブックをセットで配布した。用意したサンプルは約1,200個。ブースでは4品の料理を紹介し、スキムミルクをスプーン1杯加えることで取れるカルシウム量を示した上で、「あなたならどれが食べたい?」と来場者に投票してもらった。

 隣接するULTORAとの共同ブースでは、雪印メグミルクが製造する北海道産生乳由来のホエイパウダーと脱脂粉乳を使ったプロテイン商品を紹介。ビーレジェンドプロテインと全農ニッポンエールのブースでも、脱脂粉乳由来の新しいプロテインを試飲提供した。日々のパンと森永乳業は、スキムミルク入りパンの成形・試食体験を行い、家庭で作れるレシピを紹介した。

 食品以外への活用を提案したのが、株式会社Blueprint oneの「moment of MILK」だ。脱脂粉乳から抽出したタンパク質を木材パルプ由来のレーヨンと組み合わせ、その繊維を使ったTシャツを展示・販売。明治と共同開発を進める女性用インナーの試作品も紹介した。

 鈴木大樹代表取締役は、Tシャツの販売だけで大量の脱脂粉乳を消費できるわけではないとしつつ、衣類を着る人自身が情報を伝える媒体となり、在庫問題を知ってもらうきっかけになることに期待した。将来は、脱脂粉乳をナフサ由来の工業原料に代わる素材として、プラスチックや包装資材などに活用することも目指している。


「ご当地ヨーグルトマップ」を背に、撮影用プロップスを手にする一般社団法人ヨグネットの向井代表理事
「ご当地ヨーグルトマップ」を背に、撮影用プロップスを手にする一般社団法人ヨグネットの向井代表理事
新企画「つながるわなげ」の説明資料を手に、ブース前に立つNPO法人うしミルの高砂理事長(右)
新企画「つながるわなげ」の説明資料を手に、ブース前に立つNPO法人うしミルの高砂理事長(右)
千葉県館山市の須藤牧場を舞台に、搾乳や給餌などの仕事を疑似体験できる関東生乳販連のVRコンテンツ
千葉県館山市の須藤牧場を舞台に、搾乳や給餌などの仕事を疑似体験できる関東生乳販連のVRコンテンツ

遊びながら牛乳・酪農に触れる


 ヨーグルトエリアでは、一般社団法人ヨグネットが、全国各地のヨーグルトを日本地図上に並べた「ご当地ヨーグルトマップ」を展開した。代表理事の向井智香さんは「北海道にしか牧場がないと思っていたと言われることがある」と話し、全国に酪農や乳業があり、ご当地ヨーグルトには地域や事業者ごとの個性があることを伝えたいと説明した。

 今年はヨーグルトの消費拡大事業との連携により、実際の商品容器を展示し、前年より撮影用プロップスも大幅に増やした。写真をSNSに投稿すると抽選に参加できる仕組みも設け、会場ではプロップスを手に撮影を楽しむヨーグルトファンの姿が見られた。

 NPO法人うしミルは、稲わらで作った輪を投げる新企画「つながるわなげ」を実施した。牛やミルクを入り口に、食べ物や農業全体へ関心を広げてもらうことが狙い。ミニステージでは、ミルクマイスター高砂さんが監督した「ミルクのケビン THE MOVIE」も上映された。

 関東生乳販売農業協同組合連合会は、千葉県館山市の須藤牧場を再現したVR酪農体験を提供。360度に広がる牧場の景色に、頭や体を動かしながら見入る子どもたちの姿が見られた。

 よつ葉乳業は、牛乳パックを使ったフォトフレーム作りを実施した。各回12人の定員はすぐに埋まり、コーポレートキャラクター「みるる」のグリーティングでは、来場者から「Instagramで応援している」「会いたかった」と声が上がった。

 江崎グリコは、搾乳後3日以内の国産生乳を使ったアイス「牧場しぼり」を1個100円で販売。720個を用意し、販売開始から約1時間で約120個が売れた。子ども向けには牛型の消しゴムをすくってカップに入れるゲームを行い、成功すると消しゴムを1個プレゼントした。

 初出展の日本食鳥協会関東支部は、NHK「あしたが変わるトリセツショー」でも紹介された「牛乳×手タンブリング」を提案。鶏胸肉に牛乳と塩を加えて約1分間もみ込むことで、パサつきを抑えて柔らかく仕上げる方法を紹介した。用意した配布物は途中で追加するほどの反応があった。

 全国牛乳流通改善協会は、宅配専用商品とリーフレットを配布。用意した計5,000個のサンプルは、開始から約1時間半で全てなくなった。骨密度チェックなども行い、継続的な飲用習慣と牛乳宅配の利用を呼び掛けた。

 デザイン事務所のTOAL inc.は、注ぐ飲み物によって文字や絵の見え方が変わる「珈琲牛乳のグラス」を販売。遊び心のある商品で、牛乳を身近に感じてもらう機会をつくった。


「平均牛乳」と「最強牛乳」を前に、牛乳パッケージの研究成果を発表する小学6年生の大坂聡志さん
「平均牛乳」と「最強牛乳」を前に、牛乳パッケージの研究成果を発表する小学6年生の大坂聡志さん
「スタディツアー」で訪れた牧場での学びを紹介した新渡戸文化高等学校の生徒と教員
「スタディツアー」で訪れた牧場での学びを紹介した新渡戸文化高等学校の生徒と教員

若い世代が学び、伝える


 初出展の新渡戸文化高等学校では、独自の「スタディツアー」で北海道中標津町の山本牧場などを訪ねた2年生2人が、現地で学んだ酪農や牛乳の魅力を発信した。生徒たちは、牧場ごとに飼養方法や牛乳の味、ものづくりへのこだわりが異なることを知り、「MILK for the FUTUREプロジェクト」として活動を続けている。

 ミニステージでは、「牛乳調査隊」として活動する小学6年生の大坂聡志さんが研究成果を発表した。大坂さんは小学3年生ごろから1,000種類以上の牛乳を飲み、パックを収集してきた。

 小学4年生の時には、当時集めていた約700種類のパッケージを分析。青、白、緑を基調とし、左向きの牛や縦書きの商品名など、最も多く見られる要素を組み合わせた「平均牛乳」を作った。小学5年生では、同学年の児童へのアンケートを重ね、飲んでみたいと思わせる「最強牛乳」を制作。パッケージの色や商品名などを段階的に調査し、支持を集めた青色や、福岡の方言を使った「ばりうま」をデザインに取り入れた。

 6年生になった現在は、スーパーで3日間、朝と夕方に牛乳売り場を観察し、実際にどの商品が購入されるのかを調べている。プライベートブランドの商品が最も多く買われ、まとめ買いする来店者も多い一方、商品によって売れ方に大きな差があったという。

 大坂さんは牛乳の魅力を「一番手軽に栄養が取れる存在」と表現した。


体験を次の一杯へ


 会場では、全国の牛乳や乳製品を味わうだけでなく、本物の牛を間近で見て、餌に触れ、酪農の仕事を疑似体験し、新たな商品や用途を知ることができた。牛乳を研究する小学生や牧場で酪農を学んだ高校生の活動も紹介され、その魅力をさまざまな角度から捉える機会となった。

 学校給食がなくなる年末年始を控え、会場で生まれた興味を家庭でのもう一杯や商品の購入、継続的な飲用につなげていくことが重要になる。同フェスは作る側と飲む側・食べる側を結び、牛乳・乳製品の消費拡大に向けた次の行動を促す、まさにキックオフのイベントとなった。

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