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  • 《全共プレイバック》資材展とセールに見る改良の次の一手 第16回全日本ホルスタイン共進会《3》

    併催した酪農資材器具展では熱心に質問する生産者が多く見られた  第16回全日本ホルスタイン共進会では、審査会場に隣接して酪農資材器具展が開かれ、繁殖・改良、牛群管理、飼料などに関する最新の技術や資材が紹介された。《3》では、企業展示とゴールデン・ナショナルセール、そして大会全体の総括を取り上げる。  ※本記事は、月刊デーリィマン本誌(2025年12月号)に掲載した記事を3本に分け、デーリィマンプラス向けに一部体裁を整えて掲載するものです。 繁殖・改良への高い関心に応える企業展示  審査会場隣接の大型テントで開かれた酪農資材器具展には約90の団体・企業が出展。「畜産機器・資材」「団体」「飼料」「畜産用薬品」「牛群管理システム」「国産・輸入精液」「出版・教育・その他」の7分野にジャンル分けされ、幅広く最新動向が紹介された。  一般社団法人家畜改良事業団は厳しい酪農情勢の中、種雄牛造成、牛群検定、遺伝子型検査など同事業団が担う基盤技術の重要性を強調。会場では今大会に出品されたJサイア娘牛を写真入りで掲示していた。そのうちの1頭である熊本県合志市の衛藤彰一さん(62)が出品したサンライズ ロツク ハーゲンは、同事業団の種雄牛として採用された自家産牛・サンライズ ジオング シヤムロツク ET(JP5H58237)の娘。父牛は母系には名血“ロータミー タイタニック”ファミリーを背景に持ち、「雄大なフレームで乳用強健性に優れ、ロボット搾乳向けの乳頭配置も魅力」と評価されている。今回、自家産種雄牛の娘牛を全共のリングに送り込んだ繁殖者は衛藤さんのみで、その点でも注目が高かった。  オリオン機械㈱は「つながるデータ、進化する酪農」を掲げ、来年4月発売予定のクラウド型飼養管理システム「デイリーネット」と、AI(人工知能)が跛行(はこう)とボディーコンディションスコアを自動算出する「キャトルアイ」を展示。キャトルアイはパーラー頭上に設置したカメラで牛の歩様を撮影し、削蹄後のスコア変化なども高い精度で捉えられる。  飼料分野ではフィードワン㈱が秋から全国展開している搾乳牛用飼料「ルミナス」を紹介。ゲノム改良と搾乳技術の進展で乳量が伸び続ける中、脂肪酸製剤の強化、クロムの配合、活性酵素の採用により「高泌乳と体調維持の両立」を狙った設計に関心が寄せられた。  ㈱野澤組のテーマは「Farm to Table」。畜産部門では輸入精液を販売し、食品部門ではチーズ製造まで一貫して手掛ける同社の事業を繊維部門も含め紹介し、多角化企業としての事業構造を示した。 開始前から会場に多くの人が詰めかけたゴールデン・ナショナルセール 遺伝資源への関心示したゴールデン・ナショナルセール  併催イベントとして25日夕方に行われたゴールデン・ナショナルセールでは、24年1月〜25年2月生まれの雌牛38頭が上場された。  いずれも将来の牛群づくりや繁殖基盤の強化に向け選抜されたもので、購買者とのやり取りからも、次世代の改良につながる遺伝資源への関心の高さが感じられた。最高価格は北海道石狩管内恵庭市の有限会社福屋牧場が出品したサクランド ハズイツト ロエヴエ ET(24年1月6日生)の400万円。6部に出品され、優等賞2席を獲得していたこともあり、落札価格を伸ばしていった。  資材展とセールの両方に共通して見られたのは、AI・クラウド管理技術の進展と、繁殖・改良に対する高い意識だ。出展者の説明に聞き入る酪農家の姿が多く見られた。 次の開催地、「できるだけ早く知らせたい」  10年ぶりの全共。そのリング脇では、若手からベテランまで、出品者たちの言葉に“現場の温度”が宿っていた。調子を崩しながらも立て直して出場にこぎつけた牛、家族で仕上げを重ねた牛、長く受け継がれてきた自家繁殖ファミリーの娘。いずれの背景にも、地域の仲間や後継者、技術者の支えがあった。名誉賞や優等賞1席に立った出品者の多くが「みんなのおかげ」と語ったのが象徴的で、牛づくりを通じた地域のつながりと協働の力が、リングの内外に満ちていた。  閉会のあいさつに立った北海道ホルスタイン農業協同組合の山口哲朗代表理事組合長(日本ホルスタイン登録協会副会長)は、各地から集まった出品者の努力とこの10年の改良の成果に触れつつ、「今回を契機に、全共が未来永劫続いていく大会になってほしい」と強調。次回の第17回大会の開催地については「まだ決定には至っていない。候補地の検討を進めており、できるだけ早くお知らせしたい」と現況を伝えた。  改良の現場を担う生産者と後継者、乳牛改良同志会、そして関係企業・団体。多様な力が結集した成果がショーリングで交わった今回の全共は、今後の酪農・乳牛改良の方向性を改めて示した。次回大会の開催地がどこになるにせよ、この日リングに立った牛と人の歩みが、未来の酪農を支える礎となっていく。  【文・斉藤宏之/写真・本誌全共取材班】 《2》はこちら 都府県勢も躍進、各部で光った牛づくり 第16回全日本ホルスタイン共進会《2》 初出:月刊デーリィマン2025年12月号 初出企画:特集 第16回全日本ホルスタイン共進会 北海道大会 原題:「仲間のおかげ」――牛づくり通じた地域のつながりを再認識    最高位獲得含め貫禄見せた北海道、都府県勢も躍進 ※本記事は掲載時点の内容です。

  • 《全共プレイバック》都府県勢も躍進、各部で光った牛づくり 第16回全日本ホルスタイン共進会《2》

    審査会場となった北海道ホルスタイン共進会場。立ち見が出るほどの盛況ぶりだった  第16回全日本ホルスタイン共進会では、北海道勢が最高位賞を獲得する一方、都府県勢の躍進も目立った。《2》では、未経産・経産の名誉賞牛やハイスクールGP、各部で優等賞1席を獲得した出品者の声から、今大会の改良の現在地をたどる。  ※本記事は、月刊デーリィマン本誌(2025年12月号)に掲載した記事を3本に分け、デーリィマンプラス向けに一部体裁を整えて掲載するものです。 未経産全体のレベルの高さ象徴する名誉賞牛  ホルスタイン未経産クラスの名誉賞は、3部(14〜16カ月)に出品された北海道宗谷管内枝幸町・内田喜久男さん(66)のハツピーライン RT アンテロープ ルル。全身のバランスの良さ、胸の深さと幅、肋の深さに加え、歩様の正確さや後肢の鮮明さが高く評価された。飛節の動きの確かさや寛(かん)の位置の良さまで含めて総合的に優れている点が認められ、未経産部門全体のレベルの高さを象徴する1頭となった。体全体の移行の良さが際立っていた点も指摘された。  経産牛の7〜13部で名誉賞を獲得したのは、北海道十勝管内上士幌町・小椋淳一さん(41)が出品した13部(42〜48カ月)のハイロード ラムダ エクスタシー。肋間の広さや乳用強健性、寛の位置の良さ、骨質の確かさの他、後乳房の幅が非常に広く、付着が優れている点も評価を受けた。経産牛らしい落ち着きと厚みのある体つきに、完成度の高い乳房が備わった1頭といえる。小椋さんは十勝の仲間からの支えに感謝しつつ、「優等賞1席を取れただけでも本当にうれしいと思っていたのに、名誉賞ももらえるなんて」と2回目の全共出場でつかんだ栄誉を喜んだ。  未経産クラスの仕上がりの確かさと、成熟した経産牛の迫力。その両方が際立った大会は、各部の代表牛がそれぞれの持ち味を最大限に発揮し、審査員の評価でも接戦となった。ハイスクールGPでは、未経産・経産で最優秀1頭を選出。未経産の部は、群馬県立吾妻中央高校のアガチユー シヤングリラ M ハズイツト ルツク フタゴ(4部、16〜18カ月)、経産の部は、京都府立農芸高校のグロリーオーサ クリーメル クラツシヤブル フイラ(15部、5〜6歳)が頂点に立った。 仕上げに仲間の支え、チームでつかんだ栄誉  北海道勢の層は厚かったが、都府県勢の健闘も際立った。9部(28〜32カ月)でブルーエンゼル ダイグレスが優等賞1席を獲得した群馬県吾妻郡長野原町の萩原一禎さん(44)は、自家繁殖ファミリーの系統から生まれた1頭で挑んだ。10年前に曽祖母に当たる牛が全共に出場した血統で、体型の良さを受け継いできた。「骨格はずっと良かったので乳房を良くしたかった。乳房形状と能力面の改良を積み上げた成果が形になった」と萩原さん。仕上げには地元の仲間「北軽ヤングマン」の支えがあり、チームでつかんだ栄誉だった。  7部(Jサイア娘牛、36カ月未満)で優等賞1席の岩手県九戸郡洋野町・清水牧場の清水利月さんは27歳の若手だ。町の受精卵事業から生まれた良血統のシミズフアーム リンジー サラダで挑戦し、分娩後に体調を崩した時期もあったが持ち直し、「3位以内には入れそう」という自信を証明。東日本ディリーショーでも実績があり、若い後継者が全国の舞台で存在感を示した。この他、都府県勢は8部(28カ月未満、長崎県雲仙市・㈱S.T.M.HOLSTEIN出品のパツシヨンランド ルーク ジヤガー)、14部(4歳クラス、千葉県鴨川市・糟谷英文さん出品のアクテイブデール キングドツク ルエラ)、18部(ジャージー16〜22カ月、岡山県真庭市・丸山昭博さん出品のSRJ コンツアー バラナ)で優等賞1席に輝いた。  ジャージーの名誉賞に選ばれたのは、北海道留萌管内苫前町の中嶋牧場出品のエムコラボ カジノ シエーン グランツ。昨年の北海道ナショナルショウでクラス1位を獲得した実力牛だったが、今年は9月上旬の分娩で仕上げに不安があった。それでも予選を通過し、仲間とスタッフの支えを受けながら本番に合わせた1頭は、しっかりと状態を整えて評価をつかんだ。「うれしい、びっくり」と率直に語る中嶋卓広さん(42)。全共初参加での快挙となった。  審査総評では入江審査委員長が、10年ぶりの開催となった今大会で改良成果が明確に示されたと述べた。未経産では発育良好で活力に富む牛が多く、経産では乳房の付着や後乳房の高さ・幅といった点で進展が指摘された。Jサイア娘牛クラスの充実や、ハイスクールGPも大会の新たな力になったと評価。「長命連産性や疾病抵抗性の向上を目指した体型改良は今後さらに重要になる」と締めくくった。今年の全共は体型改良の現在地と、酪農・乳牛の未来への方向性を一つのリングで示す場となった。 ◇  続く《3》では、酪農資材器具展やゴールデン・ナショナルセール、次回大会に向けた動きを紹介する。 《3》はこちら 資材展とセールに見る改良の次の一手 第16回全日本ホルスタイン共進会《3》 《1》はこちら 最高位賞は北海道・木村さん出品牛 第16回全日本ホルスタイン共進会《1》 初出:月刊デーリィマン2025年12月号 初出企画:特集 第16回全日本ホルスタイン共進会 北海道大会 原題:「仲間のおかげ」――牛づくり通じた地域のつながりを再認識    最高位獲得含め貫禄見せた北海道、都府県勢も躍進 ※本記事は掲載時点の内容です。

  • 《全共プレイバック》最高位賞は北海道・木村さん出品牛 第16回全日本ホルスタイン共進会《1》

    全国358頭の頂点に立った木村さん。「ホッとした」が第一声だった  10月25、26日に北海道胆振管内安平町で開かれた第16回全日本ホルスタイン共進会には、39都道府県の予選を通過したホルスタイン358頭、ジャージー28頭の計386頭が出品された。最高位賞には、木村吉里さん(北海道オホーツク管内遠軽町、46)出品のサニーウエイ アストロ マツカチエンが選ばれ、“酪農の王国”北海道の貫禄を示した。一方で、都府県勢の躍進も目立ち、牛づくりを通じた地域のつながりを再認識する大会となった。  ※本記事は、月刊デーリィマン本誌(2025年12月号)に掲載した記事を3本に分け、デーリィマンプラス向けに一部体裁を整えて掲載するものです。 地元の北見地方ホルスタイン改良同志会のメンバーから胴上げされた木村さん。会場からは祝福の声と拍手が 開催地の誇りを示す体型の完成度  大会2日目正午を迎えた北海道ホルスタイン共進会場のリングには静かな緊張感が漂っていた。最高位賞を決める最終審査で、名誉賞を獲得した代表牛が横一線に並ぶと、観客席のざわめきはぴたりと止まり、視線は入江正和審査委員長(独立行政法人家畜改良センター理事長)の動きに集まった。審査委員長がゆっくりとリング内を移動すると、観客席から自然と手拍子が起こり、緊張と期待を帯びたリズムが徐々に場内へ広がった。ふと足を止め、腕を伸ばして1頭に歩み寄った瞬間、拍手と歓声が一気に爆発した。  リング中央で堂々と頭を上げたのは、北海道遠軽町の木村さんが出品したサニーウエイ アストロ マツカチエン(16部、6歳以上)。同牛は2023年北海道B&Wショウ、24年北海道ホルスタインナショナルショウのグランド・チャンピオンに輝いた有力牛だが、全共までの道のりは決して順調ではなかった。9月2日の分娩後に体調を崩し、乳房炎も患い、予選を兼ねる北見管内総合家畜共進会には回復途中で出場。「何とか枠内に拾ってもらった感じ」と木村さん。本大会に向けた仕上げには細心の注意と根気が求められた。  最高位賞決定審査の前、14〜16部の名誉賞に決まった直後、木村さんは「ホッとしている。コンディション調整が大変だったので、牛も人も休ませてあげたい」と率直な胸の内を語っていた。そうした苦労のかいもあって、最高位決定の舞台では、分娩後の影響を感じさせない体の伸び、乳房の高さと幅、安定した歩様など総合力の高さが高く評価された。観客席からは「最後にしっかり上げてきた」「完成度が違う」との声が聞かれ、北海道勢の地力の強さを印象づけた。  受賞後、木村さんは牛の頸をそっとなでながら「去年のナショナルショウのチャンピオンなので、うれしいより安堵の気持ちが大きい」と語った。北見地方ホルスタイン改良同志会の仲間から胴上げされ、会場は祝福の拍手に包まれた。「アドバイスや出品関連の手伝いなどお世話になった」と仲間への感謝も口にした。  今大会の頂点に立ったサニーウエイ アストロ マツカチエンは、開催地の誇りを象徴する1頭となった。 前田会長は過去最多の386頭の出品に「乳牛に対する意欲と熱意、酪農への強い思いの表れ」と述べた 10年ぶりの開催に「感慨もひとしお」  第16回全共は、前回の北海道大会から実に10年ぶりの開催。20年開催予定の第15回九州・沖縄ブロック大会はコロナ禍により中止となったが、全国の酪農家が一堂に会する舞台がようやく戻ってきた。主催者を代表して一般社団法人日本ホルスタイン登録協会の前田勉会長は「感慨もひとしお」と述べ、改良の原点である体型審査と後継者育成の重要性を強調した。  今大会には、全国39都道府県から選抜されたホルスタイン358頭とジャージー28頭、計386頭が出品され、過去最多。出品審査は未経産・経産の各部に分かれ、ホルスタイン16部、ジャージー4部の計20部構成。このうち国産種雄牛の後代検定の成果を示す「Jサイア娘牛部門」が3クラス設けられた。  審査の基本方針について、入江審査委員長は「この10年の間にトップクラスの牛がどのように改良されてきたかを確認できる機会。大いに期待している」と話し、登録協会の審査標準に基づき厳正・公平に審査する姿勢を示した。審査は円形歩行と並列審査を組み合わせ、体貌と骨格、乳器、肢蹄、乳用強健性などを総合的に評価。近年の改良方向とされる“長命連産性を支える強健性”をどのように体現しているかが焦点となった。  開催地を代表してあいさつした加納孝之・北海道副知事(鈴木直道知事代理)は、10年ぶりの全共が北海道で開催されたことを「大きな喜び」と語り、全国からの出品者を歓迎した。今大会から、高校日本一を決めるハイスクール・デイリー・グランプリ(ハイスクールGP)が新設されたが、これについても、若者が将来を託せる畜産業づくりの重要性に触れ、「この経験を今後の牛づくりに生かしてほしい」と激励した。  こうした関係者の言葉に象徴されるように、全共は単なるショーにとどまらず、乳牛改良の現状と未来、そして次代の担い手を育てる場としての意義も重要だ。協賛行事として酪農資材器具展も併催され、生産現場を支える最新技術や資材が並んだ。付帯行事が開かれた23〜24日を含む4日間の来場者は、10年前の3万1,000人を上回る約3万3,000人に達した。 ◇  続く《2》では、未経産・経産の名誉賞牛やハイスクールGP、都府県勢の躍進を紹介する。 《2》はこちら 都府県勢も躍進、各部で光った牛づくり 第16回全日本ホルスタイン共進会《2》 初出:月刊デーリィマン2025年12月号 初出企画:特集 第16回全日本ホルスタイン共進会 北海道大会 原題:「仲間のおかげ」――牛づくり通じた地域のつながりを再認識    最高位獲得含め貫禄見せた北海道、都府県勢も躍進 ※本記事は掲載時点の内容です。

  • デーリィマンプラスがオープン 9月30日まで無料で公開

    デーリィマンプラスでは、『酪農経済通信』のニュースをはじめ、全国の牧場や酪農家の取り組み、飼養管理技術、共進会、牛乳・乳製品にまつわる情報などを発信します。月刊『デーリィマン』の記事やバックナンバーも順次掲載していきます。  オープンを記念し、2026年9月30日まではサイト内の記事を無料でご覧いただけます。  無料開放終了後も、月刊『デーリィマン』の購読者と、大学・高校・農業大学校などで学ぶ学生の皆さんは、会員登録により無料で対象記事を閲覧できます。  酪農に携わる皆さんはもちろん、酪農を学ぶ人、牛や牛乳・乳製品に関心のある人にも楽しんでいただけるサイトを目指します。ぜひご覧ください。

  • 【PR】子どもたちが成長を実感できる酪農体験の場をつくりたい 山梨県北杜市・内田牧場 内田雄祐さん

    実家の牧場に就農した内田さん。「牛舎と牛をきれいに保つ」というモットーを父から受け継ぐ  地域と消費者をつなぎ、酪農の魅力と理解を広げる「酪農教育ファーム」。山梨県北杜市にある内田牧場後継者の内田雄祐さん(40)は、その担い手となるファシリテーターの資格を持つ。飼料メーカーや山梨県庁での勤務経験を経て、2025年春に家業に就いた。就農してまだ半年ほどだが、酪農教育ファーム活動を行う県の畜産酪農技術センター勤務時代にファシリテーターの認証を取得し、その重要性を強く認識。牧場認証取得はまだだが、将来的には取得して自らの牧場で子どもたちが酪農に触れる場をつくりたいと考えている。「子どもたちが定期的に牧場を訪れ、牛の世話に次第に慣れ達成感を得る」――。内田さんが構想するのは継続的な酪農教育ファーム活動だ。  ※本記事は、月刊デーリィマン本誌(2025年10月号)に掲載した記事広告を、デーリィマンプラス向けに一部体裁を整えて掲載するものです。 驚くほど清潔さを保つ牛舎。乳質も良好だ 地域酪農存続の不安広がる中、就農を決意  内田牧場の総飼養数は53頭(うち経産牛38頭)で、2024年の出荷乳量は約350tに上る。乳質は乳脂率4.09%、タンパク質率3.39%、無脂固形分率8.81%、体細胞数11万1,000個/mL。こうした良好な水準は日々の積み重ねの成果であり、牧場の誇りでもある。  自給飼料は牧草約2ha、飼料用トウモロコシ5.5haに加え、裏作でライ麦を5ha栽培する。作業従事者は本人と妻、両親の4人。牧場のモットーは「牛舎と牛をきれいに保つ」ことだ。牛舎は日々掃除を徹底し、牛体も尻尾や後肢を中心に洗浄していて、その清潔さに訪れた人は驚く。内田さんは父・繁雄さん(66)が長年守り続けてきた姿勢を受け継ぎ、経営の根幹として大切にしている。  内田さんは帯広畜産大学を卒業後、飼料メーカーに就職し北海道支所で約3年間勤務。結婚し2人目の子どもが生まれたタイミングで実家に戻ってきた。その後は県職員として働きつつ、早朝の牛舎作業や農繁期のサポートを続けてきた。就農を決意した背景には、地域酪農の衰退がある。北杜市では3年ほど前に19戸あった酪農家が、今では10戸程度まで減少。40代後半から50代という現役世代の離農も少なくなく、将来への不安が広がっていた。内田さんは「離農の話を後から聞くことが多かったけど、経営状況は厳しく、事前に相談されても止められなかったことにショックを受けた」と振り返る。地域から酪農の風景が失われるかもしれないという危機感が就農を後押しした。 掃除が行き届いた牛舎の外観 見学者の興味を引き出す“橋渡し役”  内田さんが畜産酪農技術センター勤務時代に酪農教育ファームファシリテーターの認証を取得したのは2024年。職員として必要に迫られた面もあったが、消費者と農家の距離が広がっていることに懸念を抱き、「橋渡し役を担いたい」という思いもあった。  中高生の職業体験や消費者団体の見学を受け入れていたが、対象や目的に応じて内容を柔軟に変え、理系の学生には受精卵や人工授精関連のバイオ技術の話を、消費者団体には生産から食卓に届くまでの流通過程を説明。牛舎に入れない場合でも、柵越しに見せたり、動画を活用したりするなど限られた条件下で学びを最大化する工夫も実践していた。「相手の興味を引き出し、学びを誘導することがファシリテーターの役割」と内田さん。単に知識を伝えるのではなく、参加者が主体的に考えるきっかけを与えることも強く意識していた。「柔らかい雰囲気で接することで質問が出やすくなり、学びが深まる」 スキルアップ研修はリーダーシップ磨ける  酪農教育ファームは生産者が乳価の一部から拠出した資金によって運営されている。内田さんはその点を強く意識する。「自分たちが負担しているお金だからこそ、意味のある形で活用されなくてはならない。消費者に理解され、応援してもらえる活動を通じて、酪農の仕事も続けやすくなる」  ファシリテーター資格の更新制度の見直しについても「現場の負担が少なくなった」と捉える。従来は3年に1回の更新で、更新年度にはスキルアップ研修会への参加が必須だった。2026年度以降は毎年の「活動継続届出書」と「前年度の活動実態調査報告書」の提出で更新できる。スキルアップ研修会(ワークショップ)や安全・衛生・防疫対策講演(オンデマンド配信)は任意受講となる。  とはいえ内田さんは「スキルアップするための研修は必要。任意参加であれば積極的に出たい」と話す。ファシリテーター資格はリーダーシップに直結すると考えており、「大規模農場の管理者や地域を導く立場の人こそ取得するべきだ」と強調する。 「現場で得る非日常の体験が子どもたちの関心と学びにつながる」と内田さん 厳しい情勢だからこそ酪農教育ファーム活動が力になる  内田牧場が認証を取るには手洗い場やトイレ、緊急時の病院情報把握などの整備が必要になる。ハードルは低くないが、「両親が元気なうちに取得したい」と強い意欲を示す。構想しているのは単発の体験会ではなく、継続的に関われる仕組みだ。子どもたちが定期的に牧場を訪れ、牛の世話を続ける中で少しずつ慣れ、できることが増えていく。いわば1回で終わらない“つながる酪農教育ファーム”だ。回を重ねることで成長や達成感をしっかり味わえる場にしたいと考えている。  「非日常の体験は子どもの心に残る。何度も現場に来てもらい、見て触れてにおいも感じることが次の学びや関心につながる。そうしたきっかけを一人でも多くの子どもたちに与えたい」と内田さん。  北杜市周辺では後継者不足や高齢化、さらにシカやイノシシなどの鳥獣害が重なり、酪農経営は厳しい環境に置かれている。特に飼料用トウモロコシ畑は被害が大きく、防護柵や電気柵の設置が欠かせない。  それでも内田さんは前を向く。「酪農を続けるだけでも大変な時代だけど、だからこそ地域や子どもたちが酪農に触れる機会をつくることが大事。酪農教育ファームはその大きな力になるはずです」  前職でのファシリテーター活動を通じ、酪農教育ファームの価値を深く理解した内田さん。今はまだ自らの牧場での活動は始まっていないが、準備は着実に進んでいる。牛と真摯(しんし)に向き合い、地域の未来を見据える姿勢は、酪農教育ファームの理念そのものだ。近い将来、北杜の地に新たな酪農教育ファームの拠点が生まれる日を期待したい。  【文・斉藤宏之/写真・宮田幸司】 ◇酪農教育ファームとは  「酪農を通して食やしごと、いのちの学びを支援する」ことを目的に、全国の酪農関係者が牧場や学校などで教育関係者と連携しながら実施する酪農教育ファーム活動。1998年に酪農教育ファーム推進委員会が設立され、活動がスタートした。  その2年後には、“情熱を持って子どもたちを受け入れ、かつ利用者が安心して訪問できるよう、一定の安全・衛生条件を満たす牧場など”を認証する制度が設立。2025年3月末時点で認証牧場は215牧場、牧場や学校などで活動を行う酪農教育ファームファシリテーターは471人に上る。 ◇牧場概要 飼養頭数:53頭(うち経産牛38頭) 飼養形態:つなぎ飼い 飼料作付面積:約12.5ha(延べ面積) 出荷乳量:約350t/年 作業従事者:家族4人 初出:月刊『デーリィマン』2025年10月号 初出企画:地域と未来を担う酪農教育ファームの可能性 原題:子どもたちが定期的に作業体験し成長実感できる場をつくりたい/消費者の理解と応援得られる交流活動は重要 掲載区分:記事広告 協力:一般社団法人中央酪農会議 ※本記事は掲載時点の内容です。 酪農教育ファームに関する問い合わせ 一般社団法人中央酪農会議 https://www.dairy.co.jp/edf/

  • 《動画》第2回JAゆうべつ町/JAえんゆうホルスタインショウ 主な受賞牛を紹介

    第2回JAゆうべつ町/JAえんゆうホルスタインショウが7月11日、北海道紋別郡遠軽町の遠軽町多目的施設で開かれた。デーリィマンプラスでは、主な受賞牛を動画で紹介する。 《主な受賞牛》敬称略 シニア・チャンピオン|グランシヤリオ メープル シユガーレ クロー|出品者:木村 有斗 リザーブ・チャンピオン|シツク オール ジヤンル ET|出品者:竹内 碧杜 ジュニア・チャンピオン|ハツピーライン アクシヨン キヤスター ET|出品者:GRAND CHARIOT&T-Souce&SEALAKE リザーブ・ジュニア・チャンピオン|ハツピーライン ブルズアイ マスカツト|出品者:GRAND CHARIOT&T-Souce&SEALAKE 《大会概要》 大会名:第2回JAゆうべつ町/JAえんゆうホルスタインショウ 開催日:2026年7月11日 会 場:遠軽町多目的施設(北海道紋別郡遠軽町学田2丁目) 審査員:木村達也さん(大樹町・酪農家)

  • Jミルクが夏の「ちょいグルト」を展開 若年層に暑さ対策の新習慣を提案

    Jミルクは2026年7月23日、「牛乳でスマイルプロジェクト」の一環として、7月下旬から日常生活にヨーグルトを気軽にプラスする新しいライフスタイル「ちょいグルト」の提案を行うと発表した。「ちょいちょい、いいこと、ちょいグルト」を合い言葉に、「朝に食べる健康食品」というヨーグルトの従来のイメージを現代人の多様なライフスタイルや日常のスキマ時間にフィットする「生活適合食品」へとイメージ変革することを目指す。  ヨーグルトの喫食習慣が少ないとされる若年層をメインターゲットに、その生活スタイルも考慮しながら、オリジナルキャラクター「グルトくん」を活用、年間を通じてテレビ・Web・SNS・店頭で重層的にプロモーションを展開。生活の中のちょっとしたスキマに気軽にヨーグルトをとる機会や習慣の創出を図る。Jミルクでは「酷暑が予想される2026年8、9月は、夏季向け訴求サブテーマとして『暑さにちょいっと、夏グルト』を設定。汗をかいて体内の水分が失われがちな季節に、こまめな水分補給とともに、乳たんぱく質による体内の『水分保持』をテーマに、暑さ対策の新習慣を提案します」としている。  この企画をはじめとしたヨーグルト摂取の新ライフスタイル提案企画は、さらなる消費基盤の強化と定着により、ヨーグルトが最大の用途先である脱脂粉乳の需給バランス改善など酪農乳業界全体の課題解決につなげるために、2025年から推進しているもので、2026年からJミルクが事業実施主体となっている。  「新CM配信」では、シンボルキャラクターである「グルトくん」が、ちょっとクセのあるダンスを披露しながら、若年層に親しみやすいトーンで、「暑さにちょいっと、夏グルト!」「体の水分保ちたい」といったメッセージを印象的に伝える。配信開始日は2026年8月を予定、配信媒体はテレビCMのほか、「YouTube」「TVer」など。  また、「Webバナー配信」として、ビジネスパーソンなどの若年層が抱えるリアルな「夏のしんどさ」に共感するインサイトコピーを盛り込んだバナーを配信する。配信開始日は2026年8月上旬予定、配信媒体は「Instagram」。  さらに「SNS公式アカウントでのレシピ動画展開」では、若年層と親和性の高いInstagramやTikTokを活用、「フローズンヨーグルト」や「ヨーグルトかき氷」といったアレンジレシピなどのコンテンツを順次配信。若年層がまねしたくなるようなビジュアルとアイデアで話題化を図る。このほか、「店頭販促展開」として2026年8月から順次、全国のスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで、統一キービジュアルを用いた店頭POPの掲出や、テレビCM・Web CMと連動したデジタルサイネージ動画の放映を実施。日常の購買動線において、ヨーグルトを手に取るきっかけをつくり出す。  Jミルクでは、「ちょいグルト」のコンセプト概要や、ヨーグルトを食べる(飲む)べき理由が分かる「ヨーグルトのちょっといいこと!」コーナー、CMやレシピ動画の閲覧コーナーなどを集めた特設ページを開設し、キャンペーンへの理解促進を図っていく。公開日は2026年8月を予定。  ≪酪農経済通信/2026年7月24日付≫  原題:Jミルク、今年の夏は「ちょいグルト」

  • 酪農経済通信 2026年7月24日付 東北生乳販連新会長、Jミルク「ちょいグルト」、関東乳質共励会など

    『酪農経済通信』2026年7月24日付では、東北生乳販連の第26回通常総会を取り上げています。役員補選で伊藤一成会長が退任し、新会長に紺野宏氏(福島県酪農協組合長)が選任されました。  このほか、関東生乳販連の髙橋秀行会長が語った畜安法見直し論議や牛乳類の消費拡大への対応、Jミルクが展開する「ちょいグルト」、第18回関東生乳品質改善共励会、北海道の牧草の生育状況、輸入バターの入札日程などを掲載しています。 <主な記事> 東北生乳販連総会、紺野宏氏が新会長に(1) 乳業工場再編への対応で広域流通体制強化 生産者の付託に応えるべく取り組みを継続 夏場の安定供給も需給上の課題――大竹室長 生乳需給は楽観視できない状況――本田専務 牛乳類の消費拡大へ関係団体や乳業と連携(7) 関東生乳販連の髙橋秀行会長が抱負を語る 畜安法見直し論議への対応が当面の課題に クロコン導入も「不公平感」は続いている 指定団体だけに任せず、国も需給に責任を 2025年度受託実績101.3万t――関東販連(8) 前年度比0.1%減、目標比は1.1%減 用途別動向では飲用牛乳向けが0.7%減 脱バ向け9.9%増、加工率は11.2%に Jミルク、今年の夏は「ちょいグルト」(5) 「牛乳でスマイルプロジェクト」の一環で ヨーグルトの喫食習慣少ない若年層主体に 水分保持をテーマに暑さ対策の新習慣提案 関東販連が第18回乳質共励会の表彰式開く(10) 神奈川・全農神奈川県本部の須田裕氏1位 牛乳の安定供給は食料安保の観点でも重要 北海道1番牧草の収穫、平年並みで終了(13) 北海道農政部発表、7月15日現在の状況で 農林水産物の輸出拡大で全国知事会が要請(14) 輸出障壁の除去や販路開拓支援など5項目 森永乳業バリッチェ「チョコ&ミント」(15) 機構が9月までの輸入バター入札日程公表(16) 8月20日、9月10日に各月900t、SBS  Dairyman+で公開している記事は、リンクのある見出しからご覧いただけます。  ≪酪農経済通信/2026年7月24日付≫  ★『酪農経済通信』では、酪農・乳業に関するニュースを日刊でお届けしています。購読をご希望の方は、こちらからお申し込みください。

  • 森永乳業が「Variche チョコ&ミント」を発売 爽やかなミントアイスと濃厚チョコ

    「Variche(バリッチェ)チョコ&ミント」  森永乳業は2026年8月4日から「Variche(バリッチェ)チョコ&ミント」をコンビニエンスストアで先行発売するほか、8月17日から全国発売する。「Variche(バリッチェ)」シリーズは天面を覆うチョコをスプーンでバリッと割ってから食べる新体験カップアイスで、蓋を開けた瞬間に広がるカカオの香りとカップ一面を覆うチョコの存在感、そしてチョコを「バリッ」と割る心地よい音とともに、五感で楽しむ食体験を楽しめる。  同商品はチョコミントの人気の高まりを背景に、濃厚なチョコと爽やかな香りのミントを掛け合わせた新フレーバー。カカオ香る濃厚なチョコとのバランスを楽しめるようペパーミントエキスを使用し、爽やかな香りのミントアイスに仕上げた。種類別・アイスミルク、紙カップ、紙シール蓋、110mL、300円(税別)。  ≪酪農経済通信/2026年7月24日付≫  原題:森永乳業バリッチェ「チョコ&ミント」

  • 《動画》令和8年度江別市ホルスタインショウ 主な受賞牛を紹介

    令和8年度江別市ホルスタインショウが7月18日、北海道江別市の農村広場で開かれた。デーリィマンプラスでは、主な受賞牛を動画で紹介する。 《主な受賞牛》敬称略 グランド・チャンピオン|フオアフイールド フリーリ ハズイツト モモ|出品者:前田 直人 リザーブ・チャンピオン|フオアフイールド マチムラ パピー サンダーストーム|出品者:前田 直人 ジュニア・チャンピオン|フオアフイールド キヤトル ポケツト チーフ|出品者:前田 直人 リザーブ・ジュニア・チャンピオン|ロツクヘルス ベリーエフ ハビツト ローテイ|出品者:岩田 淳一 《大会概要》 大会名:令和8年度江別市ホルスタインショウ 開催日:2026年7月18日 会 場:江別市農村広場(北海道江別市西野幌944) 審査員:今村慎吾さん(更別村・酪農家)

  • 《動画》第68回清水町ホルスタイン共進会 主な受賞牛を紹介

    第68回清水町ホルスタイン共進会が7月4日、北海道上川郡清水町の清水町畜産研修センターで開かれた。デーリィマンプラスでは、主な受賞牛を動画で紹介する。 《主な受賞牛》敬称略 グランド・チャンピオン|パイン リツジ フイーバー ブラントリー ドツク|出品者:成松 直樹 リザーブ・チャンピオン|セジス ビユーテイ ユニーク サイド マウイ|出品者:高橋 喜一 ジュニア・チャンピオン|セジス ビユーテイ ロート サイド プレジヤー|出品者:高橋 喜一 リザーブ・ジュニア・チャンピオン|クリアカラツト グララ キツト|出品者:大谷 純平 《大会概要》 大会名:第68回清水町ホルスタイン共進会 開催日:2026年7月4日 会 場:清水町畜産研修センター 審査員:金丸寛樹さん(大樹町・酪農家)

  • 乳業関連9団体が清掃活動で「牛乳月間」PR 全国で約3,000人が参加

    清掃活動の最後は「牛乳で乾杯」で締めた  日本乳業協会など乳業関連9団体は8日朝、6月の牛乳月間に合わせて「千代田区一斉清掃の日」に参加し、小雨が降る東京・九段北の乳業会館周辺を20人で念入りに清掃しながら6月の「牛乳月間」をPRした。  同清掃活動は年2回実施している恒例の活動で、10回目を迎える今回は活動趣旨を刷新。これまではSDGsの一環として社会貢献をメーンに牛乳月間の周知を行っていたが、今回は6月1日「牛乳の日」と6月の「牛乳月間」の認知度向上を通した「牛乳乳製品の消費拡大」と「牛乳でスマイルプロジェクト」の活性化を目的に、全国の会員乳業者や団体らが全国各地で実施し、全国130事業所から約3,000人が参加。乳業会館周辺の清掃終了後には、「牛乳で乾杯」の声かけとともにグラスに注がれた一杯の牛乳を飲み干して活動を締めくくった。  活動後、『酪農経済通信』などの取材に対して岡田臣弘専務は、今回の活動趣旨に触れ「需給が非常に不均衡になっていて、需給の改善が今の喫緊の課題になっている。消費拡大には牛乳を飲んでいただくことが一番で、今回の活動を通して皆さんにもう一度再認識していただき、消費を盛り上げたいという思いでやらせていただいた」と述べた上で「乳協の専務は今回で2度目になるが、前回(乳協に)いた時に本郷(秀毅)常務とこの活動をスタートさせた。それから清掃活動はずっと続けていて、全国の事業所の参加数も少しずつ増えている。事業所や工場も減りつつあり苦しい状況ではあるが、皆さん業界への思いなど意識は高い方々ばかり。こういう活動をやっていき、少しでも消費拡大につながればと思う」と話した。  その上で、消費拡大に向けて「牛乳だけではなく、生乳を使った乳製品など、全体で消費を上げていかないといけない。今、ヨーグルトやチーズ関連の活動やキャンペーンもやっているが、牛乳乳製品全体で需要を上げないことには、なかなか人口減少を超えた(需要の)底上げは難しいと思う。今までヨーグルトやチーズを食べなかった人が、ひと口、ひとかけら食べるといった“喫食機会”が重要になる。新たに食べる、頻度を増やしてもらう、おそらくはこれしかない」と強調した。  最後に岡田専務は「業界一体とよく言われているが、まずは意識改革が必要。一人だけでやるのではなく、業界や友達の間など、活動が伝わっていかないと消費拡大にはつながらない。まずは小さな事でも始めることが重要で、そして人に伝えていくことが大事だ」と話し、清掃活動をはじめとした牛乳乳製品の消費拡大に向けた協会の活動に大きな意欲を示した。  (伊藤まい)  ≪酪農経済通信/2026年6月9日付≫  原題:乳協が恒例の清掃活動で「牛乳月間」PR

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