≪北のめん羊ワンダーランド❸ー2≫世界基準の毛刈りを日本へ 「Japan Shears」実行委員長に聞く大会の歩み
- 22 時間前
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日本一を決める毛刈り大会「Japan Shears」は、単なる技術競技ではない。世界基準の毛刈り技術を国内に広め、羊飼い同士が学び合う場でもある。2015年の大会創設から運営に関わってきたJapan Shears 2026実行委員長の有光良次さんに、大会が始まった経緯や参加者の広がり、毛刈り技術を学ぶ意味を聞いた。
――大会が始まったきっかけは。
有光 今ニュージーランドで毛刈り職人として働いている大石隼(初代実行委員長)が、日本にはワールドスタンダードで毛刈りしている人がおらず、そういう情報に触れる機会も全くないので、これを改善したいという思いを持っていました。
あわせて、日本代表チームをつくって世界大会に出場したいという熱い思いもあり、それに賛同した複数の牧場主らが、2015年に日本での大会を立ち上げました。
――参加者の状況は。
有光 最初はクラス分けがない状態でした。だんだん参加者が増え、初心者も増えてきたため、ノービスクラスの下のビギナークラスや、上級のジュニアクラスを設けました。
参加人数は年によって違いますが、大体20~30人くらいです。日本各地から参加がありますが、こういう大会を開くにはどうしても羊の頭数が必要になります。そのため、飼養頭数の多い牧場がある北海道での開催になっています。
――観覧者も結構いますね。
有光 めん羊で新規就農を目指している人、畜産系の大学生や高校生、羊毛を扱う作家さん、羊に関わる産業に携わっている方など、所属はいろいろです。中には、大会運営にも携わっていただいている方もいます。
――大会の経費はどのように賄っていますか。
有光 昨年から、関連業界の会社などから協賛を頂くようになりました。大石が扱っている海外のバリカンや刃を優勝賞品として提供していただく形で、基本的には運営しています。役所など公的な機関の支援は、今のところありません。ほぼ手弁当で運営しています。
――世界大会の選手選出はどのように行いますか。
有光 世界大会開催の前年のジャパン・シアーズで、ビギナー、ジュニア、ノービスとは別に、世界大会参加希望者のクラスをつくり、予選を行って決めます。
――通常、牧場で毛刈りをするのはいつですか。
有光 北海道は3月から5月にかけてが多いですね。羊は寒さには非常に強い家畜なので、暑くなる時期は、毛がない方がコンディションがいいんです。また、毛の中にどんどん汚れも入ってくるので、長く伸ばし続ければいいというものではありません。
夏になった時に、刈りたてよりも少し毛の長さがあるぐらいが、直射日光に対しても、薄いサマーセーターを羽織っているようになって具合がいいんです。

――毛刈り技術を教える側の苦労は。
有光 北海道もそうですが、府県は特に牧場が点在しているので、なかなか勉強する機会がありません。大石が日本各地で毛刈りの技術や機械のトレンド、メンテナンス方法などを含めて広めていきました。
――大会参加者数は年々増えていますか。
有光 去年ぐらいまでは増加傾向でしたが、今年は少し頭打ちですね。大石の活動のおかげで、府県でも毛刈り職人が何人か生まれました。そのため、新規で羊牧場を始めた時に、毛刈りを覚えなくても済む仕組みができ始めた影響かもしれません。
羊飼いを始める敷居が最近下がってきたという点では良いのかもしれませんが、羊飼いなら毛刈りの基本を覚えておいて間違いありません。
――一般の人が観覧するにはどうしたらよいですか。
有光 自由に来ていただいて結構です。特に事前申し込みも必要ありません。ただし、海外に2週間以内に行ったことがある人は、基本的には入場できません。
SNSで「ジャパン・シアーズ」と検索してもらえれば、大会の情報が見られます。当日は、会場に入る前に踏み込み槽で靴を消毒し、名簿への記載をお願いしています。家畜保健衛生所にアドバイスをもらいながら、アップデートして防疫を行っています。
(聞き手・写真/星野晃一)

